歳をとった所為か数年前から睡眠時間が増えた。
会社勤めをしていた頃は、23時~24時に寝床に入って6時には起きる生活だったが、 今は8時ごろにならないと目が覚めず、起きても妙に頭が重く気分が良くない。
勝手に「8時間以上寝ちゃいけない体質なんだ」などと思っていたりするが、本当の ところはどうなんだか?
今日も8時に起きて、新聞を読みながらTVを流し見て朝食をとっていたら、出掛ける 時間が10時を過ぎてしまった。
身支度をしながら窓越しに外を見ると、庭のバラの植え込みが風に揺られており、ソコソコ強い風が吹いている様だ。
「何処へ行こうかな?風はあるし寒そうだし」
遠くへは行きたくない気持ちに押し切られて、近場を40kmばかり走ってみることに した。
バイクは、最近乗ってないVARACAN specialとし、タイヤに空気を入れていざ出発。
走り出し時は頬にあたる風がチョット冷たく、思わずネックウォーマーを引き上げて 防寒する。
「やっぱり今日は寒いなぁ」呼吸の妨げになるが暫くこのまま走ることにした。
街中を抜け、境川沿いの小道を走りながら何気に川面に視線を向けると、水面がキラ キラ光っているのが見えた、どうやら水面が薄く凍っているらしい。
「今の気温は1℃前後か? 風も4~5m/sはあるし、雲の多い天気だから氷は溶けそうにないな」などと独り言を呟きながらユックリ通り過ぎた。
長良川左岸堤防道路に出て南に向かって走る。
風は西南の方向から吹いており若干向かい風になるが、正面から吹くよりはまし、それに往路の苦は復路の楽でもある。(この逆は好きじゃないけどネ)
徐々にスピードが上がってクランクの回転数が増すと「ん、何か異音がするぞ」と気付いた。
ペダルを漕ぐ脚の動きに合わせて「カッっ・・カッっ・・」と一定の間隔で音がする。
ギアを落としクランクの回転数も下げると音は止むが、ギアを上げてペダルを踏む脚に力を入れるとまた音が・・・「何か当たっている様な音だが何処だろう?」
少し広い路肩を見付けてバイクを停め、異音の発生個所を確認するためバイクを持ち 上げてクランクを手回しするが、音は何処からもせず、それは前後のギアを操作しても同じ・・・。
「オカシイなぁ」何処かが当たってる筈なんだけどと、チェンジリングやスプロケットの周りを探すが、何処にも異音の原因となる様な異常はない。
「此処じゃ埒が明かないなぁ」安全な場所に移動して、走りながら異音発生個所を探すのが手っ取り早いと、近くの河川敷道路へ急ぐことにした。
河川敷道路に向かいながら、どんな時に異音が出るか考える。
・走り始めは音は出ないが、少しスピードが上がると音が出る
・フロントギアがインナーでもアウターでも音が出る
・クランクを回さないと音は出ない
・バイクを降りてクランクを回しても音は出ない
と云う事は、前後ホイールは原因から除外だが、変速機関連(前後のディレイラーと ギア類及びチェーン)とクランク関連(クランクとボトムブラケット及びペダル)は 怪しい。
そこで、河川敷道路に着いたらまず最初に変速機関連を確認する事にした。
草原を見つけてバイクをひっくり返し、クランクを回しながら前後のギアを順次変速 して異音が出るか確認するが、それらしき音はどこからもせず、どうやら変速機関連 も原因から除外しても良さそうだ。
「やっぱりクランク関連かぁ」音が出る箇所が絞られてきた。
①クランクのガタツキ ②ビンディングペダルとシューズの固定不良 ③ボトムブラ ケットの不良 多分この内のどれかだと推測する。
まずクランクのガタツキだが、クランクをユックリそして速く手回しするが、若干の 遊びはあるものの、ガタついてチェーンと当たって音が出る事は無くこれはハズレ。
次のビンディングペダルも、走りながらシューズを前後左右に動かして確認したが、 これも異音は出ず同じくハズレ。
結果として残ったのはボトムブラケットの不良で、実はこの部分、原因じゃなければ 良いがと密かに恐れていた所だ。
と言うのも、ボトムブラケットから出る異音は前に一度経験しているからだ。
De Rosaに乗って2年くらい経った頃、今回と同じ様に走行中に何処からか「カチッ・・カチッ・・」と異音がするようになった。
色々調べて最後に原因として辿り着いたのがボトムブラケットの不良で、クランクを 外してボトムブラケットのベアリングを見ると、砂にまみれて油切れの状態だった。
この油切れボトムブラケットの交換作業では大変苦労した覚えがあるが、これを交換 する事で走行中の異音は無くなったので、どうやら今回も同じ対応が必要ということ かも知れない。
それにしてもこのVARACAN specialは昨年8月に組み立てた物、距離も数百㎞しか走ってないのにボトムブラケットが不具合になるなんてチョットがっかりだ・・・。
異音の原因箇所もほゞ特定できた事だし、これ以上あれこれ考えていても仕方がない「ここは心機一転走りに専念しよう」と気分転換を図り、この河川敷道路を4往復(30km)ばかり走ってみる事にした。
風は相変わらず西南方向から吹いているので、往路は24~25km/hrぐらいにセーブし、復路は30m/hr前後にスピードUPして走る。
こうして淡々と走っていると、次第に雑念は消え果て、視界に入るもののみが意識の 対象となりそして消えていく・・・。
そんな風に走り続けて2往復めの折り返しに近づいてきた時である、何気なく座る位置をサドルの前方に移したら、突然あの異音がしなくなった。
「えぇ、音が消えたと云う事は・・・」仮説を検証する様にサドルに座る位置を前・ 正常・後と変えてみると、前寄りに座ると音が消えて正常or後寄りに座ると音が出る 事が判った。
なるほど、サドルのシートポスト固定にガタは無いので、異音はシートチューブに差込んだ同ポストから出ていると考えられ、想定外の原因ではあったが、ここが発生源と すれば心当たりもあり納得出来る。
このバイクは、元々シートポストを同チューブに固定するクランプ部に問題があって、ボルトを強く締めてもシートポストが下がってサドルを適正高さに維持できない不具合が生じていた。
このため、苦肉の策としてシートチューブ内に突っ張り棒を入れてポストの沈下を防いでいるが、ライドで何度も乗り回す内にサドル位置が適正高さより1cmほど下がって きたことから、1円玉を複数枚重ねてスペーサー代り(何という安易な発想だろう)に追加する処置をおこなった。
これが年末の事で、以来このバイクには全く乗っておらず、1円玉での高さ調整が異音発生の原因になろうとは夢想だにしなかった。
サドルの前寄りに座った時は音が止み、後寄りに座った時に音が出るのは、その高さが適正かどうかに関係していると思われる。
実は1円玉スペーサーを入れる時、悪い事にその必要な厚みより5m/m分多く1円玉を 重ねて入れる事をしていた。
この余分な5m/mにより生じる腰の振れがシートポストに一定間隔の微振動を与え、 それが1円玉スペーサーor突っ張り棒への衝撃となって異音を発生させていると考えるのが正解だろう。
「良しこれで異音問題はスッキリ解決だ」あとは居宅に帰ってから対応を講じることにしようと決め、ひと先ずトイレ休憩をとるため近くの公園に向かった。
休憩の後は走り残した河川敷道路2往復半の走行を再開だ。
気分も晴ればれだから、気持ちよく走れるぞ・・・。