風を道連れに

☆あるボッチローディーの独り言☆

追い風と向かい風

 

SNSが人々の行動に深くかかわる時代である。

これを上手く利用した者が時代の寵児になれるが、そこには虚実ないまぜになった危うさが付きまとうというのは、多くの人の知る所だろう。

しかし、SNSを通じて流される情報の嘘を事実と誤認してしまう人々が少なからず居ることも確かで、それが場合によっては社会を不安定化させる一因となっている。

小生とて「嘘情報に惑わされてはいない」と断言する自信は無いので、情報過多の中で正しい情報を選び取ることの難しさを痛感せずにはいられない。

それにしても、今も続く米国の混乱を傍観者として見てると「アメリカ人よ早く理性を取り戻せ」と呼びかけたくなる・・・。

 

さて、今日は木曽川から長良川へと回る周遊ライド、昼から予定があるので距離は45kmくらいと少なめにした。

バイクは1か月半ほど乗ってなかったLapierreを準備して出発。

久し振りに乗るからだろうか?妙に目線の位置が高い気がするが、サドル位置を変えてはいないので単なる気の所為と自分に言い聞かせる。(どういう具合か判らないが時々こんな錯覚を覚えることがあるのだ)

 

5分ほど走ると次第に身体がバイクに慣れてきた。

木曽川に架かる尾濃大橋に向かってバイクを駆ると、北西からの4~5m/sの少し強めの風が背中を押すので、ペダルを漕ぐ脚に力を込めなくても27~28km/hrのスピードを 容易に維持して走ることが出来る。

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滔々たる木曽川の流れ(尾濃大橋より上流を望む)

「剛脚とか健脚とかいわれてる人達はいつもこんな感じで走ってんだろうな」と勝手 に想像して羨んでみたが、所詮それはかなわぬ望みだ「俺の力量ではどだい無理だな」と諦めた。

だけど「この風、帰りは嫌だなぁ」と風に向かって走る辛さを想い出し少しネガティブな気分になったのは老化の所為だろうか。

 

尾濃大橋からは、木曽川左岸の河川敷に設けられたサイクリングロードを尾西グリーンプラザまで走ることにする。

いつもは堤防道路を走ることが多いが、路側帯が狭く緊張が強いられる道なので、今日は「走りたくないなぁ」との気分が勝ってサイクリングロードへとハンドルを切った 次第だ。

 

しばらく行くと緑地公園の草地にテントが数張りあるのを視線が捉えた。

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公園の広場になんとテント群が・・・

「此処ってキャンプを許可されてるの?」ってお節介に思ったが、どうも泊まった様子は無くキャンプ気分を味わってるだけの様だった。

寛いで折畳みチェアーに座る人達を横目に見ながら「本当にキャンプ流行りだなぁ」と独り呟く。

今の流行は、子供の頃に親とキャンプを楽しんだ経験を持つ団塊ジュニア世代での人気とSNSでの情報発信に負う処が大きいといわれているが、その範疇に入らない小生も「ヒロシのボッチキャンプ」なる番組を時折TVで観たりして昔を懐かしんでいる。

懐かしむと言っても小生のキャンプはキャンプ場のそれではなく、山での露営なので チョット趣が異なるが、自炊しながらテント泊するのだから大きな違いは無いだろう。

眼を閉じて思い起こすと、10月の涸沢の凍える寒さや、30kg超のリュックを背負って 疲労困憊しながらも愉しく縦走した南アの情景等々を今も鮮明に想い出す・・・。

 

尾西グリーンプラザ前でサイクリングロードは終わり、ここから先は馬飼大橋まで堤防道路を走ることになる。

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木曽川左岸堤防道路(一宮市尾西付近)

幸いにしてこの堤防道路は車の交通量がグーンと減るので安心して走れるのが嬉しい。

風は右後方からの追い風で、巡航速度を保ちながらも周囲を眺める余裕ある走り、視線の先の養老山地の青い山並みが徐々に大きく近付いてくる。

 

15分ほど走り馬飼大橋の袂で信号停止、ここから木曽川右岸に渡って木曽長良背割堤 北詰に向かおうと橋に入った途端、正面から風が吹き付けてきた。

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木曽川大堰として水資源管理機能も兼ねる馬飼(頭首工)大橋

「やっぱり強い風だな」追い風の時は感じなかった風速も向かい風となると実際以上に感じる。

これまで楽をしたんだから仕方が無いと諦めたいが、風の抵抗に遭うとついそれを恨みたくなる、人間は自分本位の勝手な生き物だ。

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木曽川左岸を背割堤に向けて走る

背割堤北詰まで走ると、今度は道を右に折れ戻って長良川左岸堤防道路に入る。

風はほゞ正面から吹き付けてくるが、道はこの先で右に緩くカーブするのでやゝ横風になって抵抗は減る「少しだけ辛抱しよう」と呟いてチョットだけ前傾姿勢を強めた。

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向かい風の中を長良川左岸堤防道路を上流に走る(羽島市桑原付近)

風に向かって5kmほど堤防道路を走って来たが、ギアを軽めに落として80rpm前後の ケイデンスでクランクを廻してきた所為か、次第に脚に疲労が蓄積してきた様だ。

「時間もあるしチョット休むか」とこの先の運動公園で最後の休憩をとることに決め、河川敷に敷設された管理道路に降りると、風は随分と弱まった気がする。

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長良川上流に向かって8km余り続く河川敷の道

「これなら堤防道路を走るより楽かも知れない?」福寿町まで続くこの道を走ることに変更するとして、まずは休憩場所までとペダルを踏む脚に力を込めた。

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運動公園の脇にバイクを停め最後の休憩

ベンチに腰掛けて10分ほど休憩したのち出発。

風の抵抗を受けてあまりスピードは出せないが、此処からなら30分くらいあれば居宅に帰り着けると踏んだ・・・。