風を道連れに

☆あるボッチローディーの独り言☆

マチュピチュへ?

 

今日は気温が高くなり”熱中症に注意”との予報だったが、だからといって家でじぃっとしているのも嫌なので予定通り出掛けることにした。

行先は旧春日村の上ケ流地区、俗に”岐阜のマチュピチュ:天空の茶畑 ”といわれているところだ。

バイクは最近出番の多くなったVaracan specialを準備。

一応目的地が結構なヒルクライム(小生にとってはだが)になるので、こういうところを楽に登るためバラ完したバイクを使わなくっちゃ意味がないと考えたわけだ。

 

「さぁてどういう走行ルートでいくかなぁ」とまずは春日村までの走行路を頭で思い 描く。 

” 河渡で長良川を渡って美江寺⇒神戸と辿り、池田ふれあい街道を走って春日村へ ”

まぁこんな感じかなと概略を決め、実際に走る道は臨機応変に判断することにして走り出す。

外気温は今のところ30℃前後か?風は南東からの微風が吹く程度なので、ライド向きの天候と言えなくもない。

 

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根尾川を渡って池田山方面へと走る

根尾川揖斐川の橋を続けて渡ると、出発時には遠く見えていた池田山が真近に迫ってきた。

池田ふれあい街道は、池田山東面の裾野を南北6.2kmにかけてアップダウンを繰り返しながら走る、濃尾平野の眺望が大いに目を愉しませてくれる道。

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ふれあい街道沿いには茶(いび茶)畑が広がる

普段は南端の池田温泉から入ることが多いが、今日は此処から近い霞間ヶ渓から入って北端の粕川まで走ることにした。

それにしても、以前なら形にこだわって” 始点から終点まで ”を完結すべく、遠回りと 分かっていても池田温泉へとハンドルを向けたのだが、最近は何かにつけ楽な方を選ぶようになった。

これも老化現象の一つの表れと思うと、吾がことながらチョット寂しい・・・。

 

日差しは徐々に強くなって背後から照りつけるから、その下で小一時間ほどもペダルを回し続ける小生の体温は先刻から上昇気味。

其処に上り坂が加わって更に体温を上げるので、額から汗が伝い落ちてきてサングラスを濡らし、視界を歪めて走りの邪魔をする。

”上りの汗を下りで引かせる”そんなことを繰り返しながら山麓の道を進むと、やがて 眼下を粕川が流れる橋の上に出た。

此処まで来れば”岐阜のマチュピチュ:天空の茶畑”まではあと少し。

この先を左に折れて県道をしばらく進み、分岐から山道を一気に駆け上っていくことになるのだが、その試練?を前に喉を潤しながらチョット一休みすることにした。

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澄んだ粕川の流れに癒されながらチョット一休み

川には水遊びに興じる家族が10人余り、その愉し気な様子を見ながら、以前に孫達を 連れて此処に来た時のことを思い出していた。

魚釣りがしたいとの要望に応えて簡便な道具を誂えたが釣果はサッパリ、早々に川遊びに切り替えてその場を凌ぎBBQでご機嫌を取って難無きを得たが、果たして楽しんで くれたかどうか?

その孫達は、今夏は2年ぶりに岐阜へ遊びに来ることになっていたが、今般のコロナ禍拡大の影響でその計画はご破算、真近でその成長を確認する機会は、昨年に続いてまたもや失われた・・・。

 

県道からの分岐点の目印となる内藤酒店を右に折れると、道はいよいよ”岐阜のマチュピチュ”への山道に突入。

一旦下った道は県道へと戻る分岐を過ぎると上り道に転じて、此処から約2.2kmのヒルクライムが始まる。

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緑陰とせせらぎが高ぶった気分を鎮めてくれる

平均勾配は9%ほどだが、上り始めは緩く中盤を過ぎると傾斜がきつくなって、後半は 思った以上に疲労が脚にくるので注意が必要だ。

フロントインナーでリアを28Tに落としてユックリ上ると、丁度いい様な少し軽い様などちらともつかない負荷を脚に感じて、ついギアを1段上げる誘惑に駆られる。

しかし「此処で無理をしたら後に響くぞぉ」と自分に言い聞かせ、同じペースでペダルを踏み続けることにしたが、案外この判断が後々に自分を助けることになったかも知れない。

 

登路の中盤近く、数m先に視点を定めて無心にペダルを漕ぎ、何気なく左下に視線を転ずると先ほど上ってきた道が随分遠くに見え、着実に高度が上がっていることにささやかな安堵を覚えて幸せな気分が身体を包んだ・・・。

しかしそれも束の間、道の傾斜がきつくなり28Tではとても無理と32Tにギアダウン、

もうこれ以上軽いギアは無いので何が何でもこれでいくしかないと覚悟を決めた。

おまけに日差しは強く、身体運動による発熱と相まって体温を上げるから、額から吹き出す汗につい「熱っちぃぃ」の声が口をついて出る。

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延々と続く上りが次第に脚力を奪っていく

中盤も後半に近くなると更に傾斜は上がり、シッティング位置をサドルの前寄りに変えないと脚の負荷は耐えられそうに無い感じに。

「熱っぅハッハッ」「えらぁハッハッ」と交互に声を発しながら我慢我慢の登行を続けていると、前方のカーブで携帯を操作しながら停まっている若者ローディーを発見。

二言三言の言葉を交わして前を通り過ぎると、背後から「あと少しですょー、頑張ってくださぁーい!」の声が追ってきた。

思いがけないその声に「おぉ、ありがとぉう!」と返しながら手を挙げて答礼。

と同時に、声に反応する様にして活力が全身に戻ってきたのを感じて、ペダルを漕ぐ脚に力を込めた。

 

木立に囲まれた坂を喘ぎながら上って、視界の開けた処に出ると其処が上ケ流地区。

「やっと着いたぁ」バイクを停めて吹き出す汗を袖で拭いながら、眼前に拡がるお茶畑を眺める。

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天空の茶畑は更に上へと広がる

遠くまで茶畑が続いているが此処はまだ上ケ流地区の入口。

もっと高いところからでないと”天空の茶畑”の景観は見られないので、更に先に進む ことにした。

しかし100mほど先へ進むと” 花つみのへや ”という売店の前で道は通行止めとなって おり、駐車場番のおっちゃんに聞くと、この先は住民しか入れず、更に散策路の”天空の遊歩道”も現在閉鎖中と教えてくれた。

どうもコロナ感染予防のための措置らしい。

「あちゃ此処が終点かぁ」突然の幕切れに少し落胆したがどうしようもない。

仕方ないので駐車場の隅にあったラックにバイクを預け、売店のテラス席に腰掛けて 10分ほど休むことにした。

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茶畑を眺めながらヒルクライムの疲れを癒す

眼前に広がるのは”岐阜のマチュピチュ:天空の茶畑 ”という景観ではないけれど、まぁこれはこれとして美しい景色と言えなくもない・・・。

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遊歩道を登るとこんな景色が見られたのだが・・・

「さぁ帰ろう」

今日は予報通りに暑いしヒルクライムで相当汗を掻いたので、麓の湧水(二条関白蘇生の泉)に寄り”頭から冷水をジャブジャブ浴びて”サッパリしてから帰ることにした。

「そうだなぁ帰り道は揖斐川沿いが好いかな」そう決めてバイクに跨ってビンディングをカチッと入れた・・・。

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帰り路から見えたこの景色も絶景だった・・・