朝起きて、いつもより遅めの朝食を摂りながら「手術した足首の療養?も兼ねて温泉に入りたいなぁ」とそれらしい理由をつけて、家内を日帰り温泉に誘った。
行先は”池田温泉”で、近在の日帰り温泉の中から其処を選んだ訳は、泉質(つるすべ肌のアルカリ性単純泉)が好きなこともあるが、風呂に入った後には池田山へと登って、その道すがら秋色に染まる風景を眺めてみたいと思ったからだ。
池田温泉までは車で40分弱(ロードバイクだと近道を走っても1時間以上かかるので、やっぱり車は速い)も走れば着く。
池田山麓に近づくとパラグライダーが2つ、上空を優雅に舞っているのが見えた。
今日は、生憎と空気中の水蒸気が多く、遠くが霞む天気だが”鳥になって飛ぶ人”には、下界がどんな風に見えてるのだろうと想像して、小生も束の間大空を舞う怪鳥になって遊んだ。
こんな時期にも係わらず池田温泉は結構な混み様で、小生も含めて手軽な癒しを求めて集う人々の姿に一種の滑稽さを感じる。
内風呂からサウナ、露天風呂と巡った後で、長椅子に腰掛けて一休みすると、火照った身体を外気が穏やかに鎮めてくれ、思わず「あぁいい気分だぁ」と声が漏れた。
それにしても温泉に浸かってノンビリと寛ぐのは実に2年ぶりの事。
これまでコロナ禍が奪ってきた、この”何でもない日常の風景”が、またぞろ非日常へと逆戻りしない様に願いたいが、残念ながらそれは神のみぞ知る事である・・・。
池田山への林道は温泉施設から山手へしばらく行った所から始まる。
入口に着くと ”時間規制通行禁止” の看板が目に入るが、ゲートは開いているし、先刻 パラグライダーが飛んでいるのを見ているから「多分問題無い」と手前勝手に判断して林道へと乗り入れた。
のっけから道の舗装悪く、しかも10%前後の斜度がズ~ッと続くので、ヒルクライムが苦手の小生が、此処をロードバイクで走ったとしたら(まずそれは無いが)かなり疲労困憊しそうな手強い道だ。
九十九折の道を2kmほど進むと舗装が剥がされた工事区間が始まり、一抹の不安が頭を過る間もなく、前方で道路を塞ぐようにして土を掘り起こしているブルドーザーが目に入ってきた。
「あちゃ~これじゃぁ前に進めない」
時間で通行規制しているのはこの工事箇所で、多分相当時間(1時間以上?)待たないと通行できる様にはならない感じ。
「ついてないなぁ」と不運を嘆くも、まだ頂上までは6km程の距離を残しているので、此処はあっさりと諦めて引き返すことにした。
今年はライド中に工事で行く手を阻まれる事が何度かあったが、今日のこれもその一つという事か?「人間万事塞翁が馬」ちょっと意味が違うがそんなことわざが口をついて出た・・・。
「さて、計画が狂ったが他に行くところはないかなぁ」と思案し此処だと決めたのが、現在地からそれほど遠くない横蔵寺、そろそろ紅葉も見頃を迎えている筈だ。
早速ルートを頭に描き、池田山麓を南北に走る池田ふれあい街道へと車を向けた。
この道はライドでよく通るので”知った道”の筈だが、今回車で通り意外に思ったのは、坂の斜度がかなりキツく見えた事。
ロードバイクと車では目線の高さが違うから、これが坂の斜度を変えて見せた原因?
もしそうなら、ヒルクライムで苦しくなって前屈みになるのは、坂の傾斜がよりキツく見え精神的ダメージが大きくなって逆効果。
「苦しい時こそ姿勢を起こしてペダリングかぁ」と独り納得する・・・。
揖斐の山間にある横蔵集落は静かな里で、その山懐深くに抱かれた横蔵寺を訪ねると、如何にも侘びたその佇まいに、いつも次第に心が鎮まって穏やかな気分になる。
今日は紅葉狩りの参拝客が多いが、誰もが言葉少なに境内を巡っており、その慎ましやかな感じが周りの景観にマッチし、小生には好ましいものに感じられた。
小生らもゆっくりと境内を散策して回り、紅葉に映える仏閣の風情を十二分に堪能することが出来た。
紅葉はまだ盛りという状態では無かったが、ほんの少し色付いたモミジと古色蒼然たる建物という構図もまんざら捨てた物でもない。
「さぁ帰ろう」
帰路は谷汲から大野へとr-266を走って、途中で野村山展望台に寄り道するライド時によく走るルートをとることにした。
今日は、久々に温泉に入って心身がリラックス出来たし、美しい紅葉の風景を観て心も安らいだ1日だった・・・。