風を道連れに

☆あるボッチローディーの独り言☆

古色と幽玄

 

御嶽山の大規模噴火からもう8年が経ったらしい。

この災害では多くの人(死者58名・行方不明5名)が犠牲になったが、遺族や関係者は別として、人々(小生も同類)の意識からはそういう悲惨な出来事があった記憶は時の移ろいと共にどんどん薄れていく。

「人間なんてそんなもんだ」と言ってしまえばそれまでだが、何だかチョッピリ淋しい思いに囚われる。

日帰りできる3,000m峰として今も人気の御嶽山

岐阜からは御嶽山がよく見える。(直線距離で90kmほどなので)

それだからという訳では無いが、山好きの小生は御嶽山に何度も登った。

中腹の残雪が心地良く登行を助けてくれる季節から、赤黄に染まる紅葉が山腹を鮮やかに彩る季節まで、登る度に色々な表情を見せてくれるのがこの山の好いところだ。

ある時、王滝口から登った下山時に ”キジ撃ち:用を足すこと” がしたくなった。

登山道から外れ岩を縫って進むと、目の前に荒涼とした谷が拡がりところどころで白いガス煙が立ち昇って硫黄の臭気が辺りに漂っていた。地獄谷だった。

それから10日ほど後、王滝村震源とする直下型地震が発生して、御嶽山頂上から南に伸びる山体(地獄谷辺り)が崩壊し29名が亡くなる災害が起きた。

もし、御嶽山に登るのが10日ばかり遅れて運悪く地震に遭遇していたら、今こうして チマチマとブログを書いている小生はいない。

人の運命は誰が決めるのか?それは神のみぞ知る謎である・・・。

 

さて、今日は清流の涼(チョット季節外れか?)を求めて板取方面へライドすることにした。 

峠を3つ越えるコース設定にしたのでバイクは山用のVaracan Special。

最近どうも走りが重い様な気がする(多分後輪のディスクブレーキでローターとパッドが軽く擦っている)が、修理が面倒(実は気が向かないだけ)なのでそのままの状態で出発、果たしてそれで良いのかぁ・・・。

 

岐阜ファミリーパークの横を通って武儀川まで走ってきた。

ここまでのところ脚もバイクの具合もまぁまぁだが、これから始まる寺尾千本桜街道の坂の峠への上りでどうなるか?「まぁ心拍数を上げない様にいこう」と自分に語り掛けペダルをユックリ踏み出した。

坂嫌いの小生は ”頑張らない” のが坂上りの基本、軽いギアで淡々と上がるがそれでも徐々に腿が張ってきて辛くなる。

「やっぱり駆動が重いなぁ」「帰ったらディスクブレーキの調整をしよう」などと思いながらクランクを回し続けるとようやく峠が見えてきた。

峠を越えればあとは下り、掻いた汗が一気に引いて身体全体で受ける風が心地良い。

上りに比べると下りは束の間だが、快速で飛ばすこの”ご褒美”があるからこそ±0で折り合いが付けられる。

板取川は越美国境の山を源とする清冽な流れ

澄んだ流れの板取川に沿って上流へとR-256を走り目指すのは高賀神社。

随分昔のこと、高賀山(1,224m)に登った時に近くを通ったが、神社は寄らず素通りしており「果たしてどんな神社かなぁ」と想像が膨らむ。

幾つかの集落を通り過ぎ、板取川に架かる橋を渡って山あいの道へ進路をとると、高賀神社まではあと4km。

わずかな距離だが、緩い傾斜が続く山道に沿って高賀川が流れ、時折その渓流が美しい渓谷の佇まいで小生を魅せるので、何度もバイクを停めることになり前へは遅々として進まない。

「まぁこれも良いかぁ」と自己弁護しながらペダルを漕ぎ続けると、視線の先に石造りの大きな鳥居が見えてきて「やっと到着だぁ」と思わず笑みが漏れた。

渓谷美で魅せる高賀川の流れ
  鳥居の大きさに圧倒される       橋の袂には円空彫りの狛犬が・・・

高賀神社は ”高賀六社めぐり” として、近世以降には地域の人々の崇敬を集めた六つの 神社の一つらしいが、思っていたより小振りな造りにチョット拍子抜け。

それでも拝殿の裏に隠れる様に鎮座する古色を帯びた本殿と八幡社を見ていると、何か神妙な気分になって”心が洗われる”様な感じがした。

信心は別にして、神社仏閣は煌びやかなものより古色蒼然としたものの方が好いと思うのは小生だけだろうか?・・・。

   石段を上がって拝殿へ        神社の歴史を物語る本殿と八幡社

いつも観光客で混みあっている”モネの池”を横目に見ながら、R-256を北へと走って次に目指すのは白水の瀧。

板取川に面する山懐深くに抱かれた落差15mの美しい瀧だが、そこまでのアプローチが少し不便なので観光客はあまり訪れない。(実はそんなところが小生の好みだ)

 

目印の徳兵衛茶屋でバイクを停め、板取川に架かる少し危なげな吊り橋を渡ると急峻な石段のあと山道が始まる。

板取川に掛けられた吊り橋を渡る       白水の瀧へと続く山道  

左足首が内反気味(人工関節手術で靭帯が伸びてる)なのでビンディングシューズでは歩き難く、足首を庇う様にして15分近く歩いてようやく瀧に着いた。

岩肌を滑る白い奔流も美しい白水の瀧

誰も居ない中「やっぱり美しい瀧だ」と辺りを見回しながら独り呟く。

瀧壺の傍らには”白水龍神”を祀った祠があり、白い奔流となって岩肌を流れ落ちる瀧は正に白龍そのものを体現している様だ。  

清冷な空気が立ち込める瀧壺近くの岩に腰掛けて、瀧水の奏でるザァーザァーという音に耳を傾けていると、幽玄な世界に埋没していく様な一抹の不安を覚えた・・・。

 

来た道を戻ってモネの池まで来ると、先刻は人だかりだった池の周りに人影はまばら、数秒前まで全く寄る気は無かったが、たまには池を覗いてみようとハンドルを切った。

随分と綺麗になったモネの池(池の水は高賀山の伏流水)

以前寄った時は水草がいっぱいで「チョット酷いな」と寄った事を後悔したが、今日は水草も少なく鯉や池底も見えて割合綺麗だった。

口コミで拡がったこの観光資源、口コミで駄目になる危険性は大いにある。

「関係者の皆さんそこんところよく考えて下さいよ」と1人の野次馬として小生はそう思うのだった・・・。

 

「さぁ帰ろかな」帰りのルートは洞戸でR-256と別れ、谷合から平井坂を越えて伊自良⇒岐阜市街の予定だ。

(ところがこの後、谷合に向かう道の通行止めで、あまり走りたくない車通行の多い道の走行を余儀なくされた。思い通りにいかない事ってよくあるよね・・・。)

流石に道をふさがれてちゃぁ先に進めない(涙)