風を道連れに

☆あるボッチローディーの独り言☆

見たいものを視る?

 

ここ数年来、野生動物が人里や市街地に現れてニュースになることが多くなった。

それがシカやサルなら農作物を食い荒らしたりする程度で済む(これも困る)が、イノシシやクマとなると人的被害の恐れも嵩まるのでチョット大変だ。

これらの動物には本来の生息範囲の中で生活して貰いたいが、それは人間の”手前勝手な言い分”で、彼らを人里へと来るように仕向けた自らの行為(自然破壊や人間領域の拡大)を忘れている。

 

40数年も前の初夏こと、気の合った山仲間3人で恵那山(2,192m)へと出かけた。

初夏の恵那山(image)

当時はまだ恵那山へのアプローチは不便で、麓の林道を2時間近く歩いて登山口に着くと、そこからようやく本格的な山登りが始まる。

標高差は1,300mほどだが、テント泊なので荷物が重く(25kgはあった)登行は遅々として進まず、山頂から少し下った水場近くの泊地に着いた時は、予定より2時間も過ぎていた。

翌日に備えて山の就寝は早いのが通例で、夕食の後しばらく雑談して、21時には各自がシュラフに潜り込む。

疲れてはいたが容易には寝付けずにウトウトしていると、何やら異音が耳に届く感じがして、頭をもたげてじっと聞き耳をたてた。

「ガサッガサッ」その音は徐々に大きくなり、何物かが落葉交じりの腐葉土を踏締めてこちらに近付いてくる。

咄嗟に思ったのは”クマが出た”で、ナイフ(何とあの頃は若気の至りでクマと出くわしたら闘うつもりでいた)を傍らのリュックから取り出して身構える・・・。

と、何やら人の話し声の様なものも聞こえたので、テントの入口を小開けして外を見ると、視線の先の暗闇の中でヘッドランプの灯りがチラついており、どうやら水を求めて山頂辺りから下りて来た人らしかった。

「なーんだ登山者かよ」とホッと一息安堵したものの、それからもクマやら魑魅魍魎?のことが気になってなかなか寝付けず、翌朝(5時頃か?)起きた時は寝不足で、少なからず気分が悪かった。

 

空気の澄んだ晴れた日に遠く恵那山を望見すると、時に脳裡に去来する遥かなる過去の懐かしい記憶である・・・。

 

 

さて今日は、揖斐川沿いを木曽三川公園へと下り、長良川沿いを戻る周回コースを走ることにした。

通常はこの逆を走ることが多いため、見慣れた景色も視点が変わる(走路も少しだけ 異なる)ので、案外面白いかも知れない?

まず向かうのは大垣郊外の”ヒマワリ畑”で、先々週のライド(祖父江)で早咲きのヒマワリを偶然見つけたので「ひょっとして大垣でも」と思い、それを確かめに行くことにした次第。

 

長良大橋を渡り墨俣から安八へと走る。

墨俣から安八へ向けて長良川CRを走る

先日のTVで町おこしのウォールアート(ステンシル絵)が紹介されていたが、大垣・安八の町中12ヶ所に点在するそれら壁絵のうち、小生が見知っているのはわずか3ヶ所だけ。

どうやらこれから走る道沿いも2ヶ所に壁絵があるらしいので、それを観がてら大垣へと向かうことにしたのだが、その道はこれまで何度も通っているのに、絵の存在に一度も気付かなかったのは何故だろう?

人間の脳は見聞きする膨大な情報を効率的に記憶するために”見たいものしか視ない、聞きたいものしか聴かない”と云うが、小生の脳もそのルールに忠実に従って情報処理をしてきたと云うことなのかな?

安八町森部  建物の壁に描かれたステンシル絵  安八町氷取

r-18(大垣一宮線)で揖斐川を渡り、橋を下った信号交差点をr-50へ左折すると、目的のヒマワリ畑はもうすぐ。

しかし、視線を凝らして左前方を見ても、ヒマワリ畑らしい緑黄色の固まりは何処にも無く、ただ薄茶色の土塊が拡がってるだけだった。

「やっぱりまだ早かったかぁ」とチョッピリだけど落胆しながら畑の傍へと向かう。

それにしても、ヒマワリの花は無くとも茎と葉ぐらいは伸びていると思ったのに、まだ芽が出て間もない様子というのはどう云うこと?

「これじゃ8月末の見頃も難しいんじゃないの」と素人感慨を脳裡に思い浮かべながら独り静かに畑を見渡していると、「そんなことは我関せず」という感じで、その視線の先の東海道新幹線高架を、高速列車が疾走音を辺りに振り撒いて通過していった。

路傍に数本早咲きするヒマワリはどこか淋し気だった

さてと、ライドはまだ序盤「あまりゆっくりしてはなぁ」とバイクに跨り、ここからは南へと向かう。

揖斐川堤防に沿う様に福束大橋まで走り、そこからは左岸堤防道路に走路を変えて更に南へ。

通常よく走るのは右岸側なので、眼に映る風景は馴染みでもチョット新鮮に視える。

しかし暢気に風景ばかり観ていてはダメ。

この道は車の通行量は多くは無いが、時折大型車両が轟音を響かせて脇を抜いていくので、そんな風に漫然と走っていると”怖い目”に遭うから要注意だ。

 視界の開けた揖斐川左岸堤防道路        青霞む養老山地の山並み   

快適に走って福岡大橋詰めまで来たのだが、何とその先の堤防道路は”全面通行止め”という予想外の事態、さてどうするか?

選択肢としては、①右折して右岸へ ②左折して広域農道へ の何れかだが、①は走路が少し煩雑になって今の気分じゃ無かったので、「最近走ってないなぁ」の思いもあった②を選択した。

この広域農道は、乗鞍ヒルクライムのチャンピオン”山の神:森本誠氏”が二之瀬峠でのトレーニングの往来時によく走る道。

ライド中に、こう云う有名人と「道で擦れ違ってみたいなぁ」とミーハー的に思ったりするが、これまで一度もそういうことが無いのは、小生に”運がない”からか?

尤も、有名人と遭っても”ヘルメットにサングラス”じゃ誰なのか解らないけどね。

あまり走ること無いけど、長期の通行止めは困るなぁ

木曽三川公園水郷パークのこんもりした林が視線の先に見えてきた。

先ほどまで4km先の三川公園展望タワーまで行くつもりでいたのだが、何だか急に全身を包む疲労感に襲われてノロノロとしか走れなくなったので、「こりゃ駄目だぁ」と ばかりに、近くの休憩場所へと行先を変更して走ってきた訳。

最近は、こんな風に”急に疲労感が押し寄せてきて走れなくなる”持久力不足症状が顕著になった。

そんな時「歳は取りたくないもんだ」と己が老齢を自覚はするものの、「チョット運動不足のせいかも知れないなぁ」と、それを否定する別の口実を探したりもしている。

人間は、いや小生はつくづく”見栄っ張り”な存在だ・・・。

 風車を観て異国に思いを馳せる     池のほとりのベンチには涼やかな風が

ベンチに座ってゆっくり疲れを癒した御蔭で、体力は回復基調だが気力はイマイチ。

「どうするかなぁ」と悩んだが、結局は展望タワーへと向かうのは止めて(5年前なら絶対に向かってたのにね)帰途に就くことにした。

走路は・・・お千代保稲荷の横を通って輪之内へ向かう・・・大略のルートを頭に描いていざ出発。

通りに出て北へ向かうと、緩い追い風が背中を押してくれるので、それほど脚力を使わなくても快走?出来る。

この辺りでは今の時期は南風が吹くことが多く、今回の様にどことなく疲労感を覚える時には大いに助かる、正に”風は友達”だ。

走路沿いに小さなヒマワリ畑があった(輪之内町平田付近)

追い風に助けられながら羽島まで帰ってきた。

此処からは長良川左岸堤防道路を走って岐阜へと向かうが、あと15kmほどなので気合を入れ直して走るぞ~・・・。