左足首の人工関節置換手術から6日が経過した。
今は病室のベットで安静にしながら、手術でメスを入れた箇所の炎症が治まって傷口 がうまく閉じるのを待っ日々で、窓から見える雲の流れを眼で追いつつ「つまらない なぁ」と嘆くだけ。
手術の方は、予定では9時から開始して午後2時には終わる筈だったのだが、麻酔が覚めて意識が戻ったのが4時ちょっと前、なんと予定を2時間もオーバーする大手術?になってしまっていた。
手術時間が長いと気懸りなのが”メスを入れた箇所がうまく閉じず、予後不良のリスクが高まる”と主治医から聞かされていた事実。
「これは困ったぞぉ」と思ったが、当の主治医は「人工関節を入れる脛骨と距骨が硬くて手間取ったのと、当初予定外の腓骨の切断(脛骨と長さを合わせる為)を入れたので時間が長くなった」と説明し、伸筋腱鞘の縫合については特に触れなかったので、特に問題は無かったのだろうと都合よく考えることにした。
これで数ヶ月後には、以前の様に支障なく歩ける様になる(走ることは好きだったが、元よりジョギングが出来るほどに回復するとは考えていない)と思うと嬉しい限りで、
健常人にとって何でもない”歩くという行為”が、障害を負う者にとっては羨望の対象になり得ることを身に染みて感じた次第である・・・。
身体の部分を切り取っても、再び同じものを再生させる生き物には、トカゲやシカ等がいるが、メキシコサラマンダー(ウーパールーパー)もその一つだ。
その再生能力は驚くべきもので、手足・脊髄・尻尾だけでなく心臓や目までも完全再生できるという。
このメキシコサラマンダーの再生能力に関わる遺伝子と同じ遺伝子が、人間にもある ことが判ったらしい。
それはmiRNAという遺伝子で、人間では関節にある軟骨組織で働いている遺伝子。
人の関節部の軟骨は、他の組織よりも高い再生力があると知られていたが、その再生力はメキシコサラマンダーと同じ遺伝子によるものだったという訳。
もしこのmiRNA以外にも、メキシコサラマンダーと共通する(今は眠っている)再生 遺伝子を人間が持っている事が分かれば、それに何らかの刺激を与える事で、再活性化できる可能性も出てきたという事か?
日々研究に勤しむゲノム研究者の皆さん、陰ながら応援しているので「再生医療の進展に資する発見に努めて下さいよ~」と手前勝手に思った・・・。
と此処まで書いた時、突然「ドクターハリードクターハリー、6階西病棟まで」と連呼する声が院内放送でけたたましく告げられた。
これは患者の容態急変などの緊急事態が発生した時に用いられる救急コールで、多くの人が知る言葉で言えば”コードブルー”が発生した事を知らせるものだ。
6階西病棟は小生が入院しているフロアーで整形外科病棟だが、誰か判らないが緊急で救命処置を必要としている人が出た模様だ。
俄かにざわめくフロアーの喧騒?を尻目に「こういう時って病院はいいなぁ」と当事者の緊迫感も知らぬげに愚にもつかない思いが心を占めた。
10分ほどで喧騒は収まり元の静かなフロアーに戻ったが、病院と云うところはこんなことが日常茶飯事に起こる特異な場所だと知らされた一事だった。
さて、外は良い天気で気温は30℃を越しそうな10月中旬とは思えぬ日和。
今頃は多くのローディーが、風を全身で感じながら、Roadを疾走しているだろうが、 小生は独り病室のベッドの上で、拙い文章をパソコンに向かって打ち込んでいるだけ
「あぁ何だか空しいなぁ」と天井を仰いで上向きに寝転んだ。
10月といえば、山に登っていた頃はテントを担いで涸沢によく行ったものだ。
ナナカマドの紅とダケカンバの黄、そして涸沢カールの白っぽい岩が織りなす紅葉景色は”日本一の紅葉”が決して誇張ではないといつも実感させてくれた。
今年は先般の局地地震の影響で訪れる人は少ないかも知れないが、自然はそんな事とは無関係に、穂高連峰にその美しい装いを見せていることだろうと思う・・・。