母がディサービスに行っている時に通販会社から電話があった。
母の名をあげて在宅か尋ねるので、どうせ売込みだろうと「今不在です」と伝えると、しつこく何時に帰るかと聞くので、面倒に思って「旅行に出かけてます」と嘘返事。
ところがその用件は、通販商品に関して前日母が問い合わせた内容の確認だった様で、仕方なくまた後日に連絡を貰えるように伝えて電話を切った。
それは兎も角として、高齢の母はディサービスに週3で通う以外は、趣味である刺繡(とうたた寝)をしながら日がな一日 TV番組を視聴しているのだが、そのTV(特にBS放送)ではやたらと通販商品の広告が流されているのは周知の通り。
あれだけ頻繁に商品広告が流されれば、それに感化されて「買ってみるか」と思う人が居る(それが通販会社の狙いだが)のは当然で、母も御多分に漏れずTVで流れる商品を次から次へと買っていると云う次第だ。
平日の日中にTVを視聴するのは主に主婦や中高年齢層なので、これらの人達の関心が高い美容や健康関連の広告が頻繁に喧伝されるのはやむを得ないが、小生が「それってどうなの?」と疑問に思うのはその内容だ。
例えば「シミが消えた」とか「毛が生えてきた」と宣伝しているが、肌のシミみたいな皮下組織に沈着したメラニン色素は、クリニックでのレーザー治療などで除去しないと無くならないし、脱毛症や薄毛は進行性のため、専門医による原因特定と継続的な投薬治療をしないと、毛母細胞が無くなる(そうなるともう毛は生えない)可能性が高いと言われている。
また多くの人達が悩む脚関節の痛みや歩行障害も「これを飲めば治る改善する」と薬剤やサプリメントを宣伝するが、果たしてそれらのものに諸症状を劇的に治すor和らげる薬理作用があるのかどうか?
通販で売られる薬は主に”第3類医薬品”で、これは”薬効は低いが副作用リスクも小さい”薬剤に分類されるし、サプリメントに至っては”クスリ”ではなく”食品”であることを忘れてはいけない。
(もしこれらが本当に効けば小生の人工関節置換手術もしないで済んだのにね)
要は通販で売られる物の中には、景品表示法で禁止されている誇大広告(優良誤認表示)に触れる恐れのある商品が少なからずあると云うことだ。
fakeはSNSの専売特許ではなく日常のいたる所に溢れていると思った方がいい。
賢明な我々?はファクトチェックに心して嘘に騙されない様にしたいもんだ・・・。
さて今日は「養老辺りを気儘に走ってみるか」と思って居宅を出たのだが、少し開けた場所で西方を覗うと、なんと養老から関ケ原にかけての山裾が雪雲で煙っていた。
如何にも寒そうな景色に「こりゃ拙いなぁ」と、バイクを停めて急遽行先の変更を検討したのは言うまでもない。
そして決めた行先は”金華山ドライブウェイ”で、ヒルクライム嫌いの小生が久し振りに山登りに挑戦する(ちょっと大袈裟)と云うもの。
金華山に登る時は大概岐阜公園口から入るが、今日は趣向を変えて岩戸公園口から入ることにして、まずは市街を走り金華山南東麓へと向かう。
市街を行く時は大通りを走らない(車と並走は危険だし頻繁な信号停止もイヤ)と云うのが小生の鉄則で、頭に描いた大まかな地図を参照しながら、この道の先はあの道へと裏道を繋いでいくのも結構愉しい。
金華山は標高329mの低山なので中高年ハイカーの手頃な登山対象の山。
そのハイカー達も途中まではドライブウェイを歩くので、バイクで横を追い越すと偶に「がんばって」と声をかけてくれる。
それに手を挙げて「ありがとう」と応え、元気を貰った感じで少しスピードを上げるのだが、ここで無理をすると後で脚に効いてくるので自制することが肝要。
「まだ始まったばかりだしね」と呟いてクランクを廻す脚の力を少し緩めた。
このドライブウェイの平均斜度は5%に満たないが、最大斜度が12%になる所が何ヵ処かある。
それらを何とか過ぎると徐々に脚が張ってクランクを廻すのが辛くなってきた。
はぁはぁと呼吸を荒げながらゆっくり走っていると、いきなり後ろから来た若いヒルクライマーに抜かれた。
「速いなぁ」と遠去かる後姿を眼で追うが、平地走りをこよなく愛する小生には、後を追う脚力も気力もないのは明らか。
ただ「あの若さが欲しいなぁ」とだけ叶わぬ願望ながら静かに想った。
最高地点をやっとの思いで越えて少し下ると視界の広がる展望台。
ヒルクライマーの多くは此処を素通りするが、軟弱な小生は疲れた脚を労わるべく休憩をとることにしている。
展望台のテラスから今朝向かう予定だった養老方面を望むと、雪雲は少し薄れた様だが山上辺りはまだそれに濃く覆われていた。
「やっぱり行かなくて正解だったな」と自分の決断を自ら弁護してその可笑しさに少し嗤ったが、それを見ている者は何処にも居なかった。
何事もなく完走できたことに内心で満足感を覚えながら、次に向かうのは長良川河川敷の管理道路。
金華山ドライブウェイをヒルクライムしただけで帰る訳にはいかないので、管理道路を30㎞ほど走るのは当初から決まっていた行動だ。
忠節橋の下手で河川管理道路に下り、此処から下流に向かって15km羽島大橋辺りまで走って折り返すのがこれからのルート。
この道は原則一般車両進入不可なので、車に邪魔されることなく長い距離を走れるのが有難い。
多少のUp Downはあるが、ほゞ平坦な走路を行くのは快適そのもので、先刻までの喘ぎながら坂を上っていた苦しさは嘘の出来事だった様でもある。
少し強めに吹く西風に抗いながら走っていると、徐々に脚に疲れが溜まってきてペダルを漕ぐ力が無くなってきた。
快調に思えた脚力もどうやら錯覚で、ヒルクライムで蓄積した疲労がここに来て正体を現したのかも知れない?
「どうするかなぁ」「あと少し頑張ってみるかぁ」自身の弱気と葛藤しながら走り続けたが、結局は長良大橋で先行を断念して折り返すことにした。
まぁこれが小生の今の”体力気力”と云うことで納得するしかない・・・。