風を道連れに

☆あるボッチローディーの独り言☆

何処へ走ろかな

 

5月連休やお盆休みになると、いつもTV等で報道されるのが高速道路の大渋滞。

小生は地方都市に住んでいる上に、人々が方々に出かける長期連休には原則遠出しない事にしているので、ほゞ道路渋滞や観光地の混雑とは無縁の生活だ。

それでもコロナ禍以前までは、年に1~2回は東京(国分寺)に住む次女家族を訪ねたりしており、車で行った時に珠に東名道や中央道でその大渋滞に出くわす事があった。

幸い渋滞とは逆方向へ走っているので、反対車線に延々と続く車列を横目に見ながら「みんなよく我慢が出来るなぁ」と何事にもせっかちな小生は唯呆れるばかり。

大都会で生活者する者には”いつものこと”でも、地方で生活する者には”非日常”と云うことは多々あるものだ。

 

昔のことになるが、勤め人の頃には東京へ幾度となく出張した。

本社での会議や仕事上の取引業者さんとの打ち合わせなどでだが、乗車した”のぞみ”が東京に近付くにつれて妙に気分が重くなったものだ。

その理由として無論仕事のプレッシャーも有ったろうが、それにも増して嫌だったのは都会の”空気の汚れ”

新横浜を過ぎて横須賀線と並走する辺り、車窓から前方を伺うと、新宿区から港区辺りにかけての高層ビル群の上空が明らかに煙っているのが判る。

「あぁ今日も1日あのうす汚れた空の下で過ごすのかぁ」と思うと、それだけで頭痛がしてきた・・・と言ったら変人扱いされるだろうか。

 

今は東京の空もきれいになったろうが昔は本当に酷かったと思う。(個人の主観です)

水道の水もまた然りで、小生は飲食店で出される生水は、カルキ臭が強くて随分長い間手をつけることは無かった。(東京都水道局によれば水質改善は顕著らしい)

都会に住む多くの人々には申し訳ないが、小生はどちらかと言えば”アンチ都会派”

流通網の整った現在においては、地方で手に入らない物等はほゞ無いので都会の優位性は極わずか。

「むしろ生活の質は地方在住の方が断然優れてるんじゃないの・・・」と小生は郷土愛を込めて身びいき的に思っている。

 

さて今日は、ライド準備を始めたもののなかなか行先が頭に浮かんでこない。

PCを立ち上げGoogleMapを開いてあれこれ思案するが、小生の通常の行動範囲である半径40km圏で「これだ」というルートを描くことは出来ず「まぁこんな時もあるさ」と諦めて、結局は長良川沿いを目的を決めず上流へと走ってみることにした。 

 

まずは長良川河川敷道路を金華山へと向かう。

この広々とした走路は”足慣らし”には丁度良く、ケイデンスを80rpm前後に上げて5kmほどを走ると脚が軽く回る様になって以降の走行が楽になること請け合い。

「うん、今日もいい感じだ」

河川敷管理道路は解放感タップリの走路

金華山塊が長良川に落ちる岩壁を削った狭道まで来ると、想定外な光景が目に入った。

道路に延々と続く車の列、その進行方向の先にはトンネルがあり、その貫けた先の信号が渋滞の原因なら車列は優に1.5kmは超えてる。

道は狭くUターンは無理、抜け道も全く無いのでこの渋滞から脱するには確実に40~50分はかかりそう。

「全くもってお気の毒様です」とドライバーに同情しつつ、小生は自歩道を走って先へと進んだ。

それから15分ほど後、同じ様な道路渋滞が芥見の藍川橋詰めでも発生しており、普段は車に抜かれるばかりの小生は、連なる車の列を横目にここぞとばかりに側道からゴボウ抜きして”車を置き去り”にするその快感を味わった。

こんなところで渋滞なんてドライバーもとんだ災難だ

関市千疋から小瀬へと、なるべく川沿いに走路をとって走る。

水量は通常より少し多目で、わずかに濁っている(数日前に降った雨の影響だろう)のを見ると、チョッピリ残念な気持ちになるのは小生の妙な感傷。

それでも、川原に大勢の人が出てBBQや川遊びに興じているのを見ていたら、なんだかほっこりした気分になってきた。

人の気分なんて1日の中でコロコロ変るもんだ、特に小生の様な年寄りは・・・。

   瀬音涼やかな長良川(関市千疋)   遠く歓声が聞こえる様な・・・(関市小瀬)

美濃まであと5kmほど、どこまで長良川を辿るかを決めかねていたが、ここまで来たら切りの良いところで「美濃橋まで行こう」と決めた。

そうと決まれば不思議なもので、先刻まで重さを感じていた脚が軽くなり、クランクが軽快に回り出す。

走るスピードが上がると、風を切って進む全身の感覚が心地良さを倍増してくれるし、眼に入る景色も何だか新鮮に映る。

美濃橋下の川原でも大勢の人が集っていた

帰路は、長良川から一旦離れて北西に進路を取り武芸川へと向かう。

その道すがら山間に拓けた麦畑の中を走ると、微かに匂う草いきれが鼻腔へと届いて、季節が着実に初夏へと向かっていることを実感させてくれた。

「あぁ好きな季節が始まるな」陳腐だがささやかな幸福感が心を満たしていく・・・。

一面の麦畑が生命の鮮やかな息吹を伝えていた・・・

武儀川から長良川へと川沿いの道を走り継いで雄総まで戻ってきた。

20kmほどを一気に走ってきたせい?で、脚にも疲労物質が溜まって少し重い感じ。

途中で若者ローディー2人に抜かれて、追走しようと”年甲斐もなく張り切った”のが仇になった様だ。

やっぱり歳が倍(というより1/2)ほども違うと、心肺機能だけで無く筋力も差があり過ぎて勝負?にならないと今更ながらに思い知った次第。

それにしてもこの2年ほどで眼に見えて身体機能が衰えてきた気がする。

これはとても悲しいことだが”生けるものの宿命”と達観するしかないか・・・。

雄総まで来ると岐阜市街はもう近い

長良橋を渡って河畔の公園で一休み。

あとは左岸河川敷道路をしばらく走ってから、市街地を居宅へと向かうだけ。

今日も何事も無くライドが終えられそうで「まずは好かったね」と誰に言うともなく 独り言を呟いた。

 妙な静寂が漂う長良河畔         古い家並の河原町を歩く観光客