風を道連れに

☆あるボッチローディーの独り言☆

潮風に吹かれに

 

健康な人の糞便を、クローン病潰瘍性大腸炎などの難治炎症性腸疾患を患う人に移植して治療する方法があるのを知っている人は多いと思うが、この”糞便移植が脳の若返りにも効果がある”との論文をスウェーデンカロリンスカ研究所の研究員がNatureに投稿した。

それによれば”老いたマウスに若いマウスの糞便を移植して、加齢により変化した腸内細菌叢(多種多様な腸内細菌の集まり)を修正した結果、「GABA」や「ビタミンA」といった脳の活動を助ける代謝物質が増加しただけでなく、プロピオン酸の合成速度や 酢酸の分解速度の低下といった免疫にかかわる物質の代謝機能も変わって、それによる免疫システムの強化が脳の海馬に間接的に働きかけて海馬機能を増強させた”らしい。

最近”ついうっかり”のもの忘れが増えて、記憶を司る海馬の衰えを痛感している小生にとってこれは願ってもない朗報だが、若い人に「ちょっと糞便を拝借」と云う訳には いかないから、更に研究を進めて貰って「このカプセルを飲んだら脳が若返ったよ」と云った、何だかSF映画の1シーンの様なバラ色の未来が早晩来ることを妄想している。

 

さて、最近は山手方面へのライドが多くなっているので、今日は逆方向の南へと走ってみることにした。

行先は桑名の先の海で、久し振りに「暢気に潮風に吹かれてみるかぁ」と思った次第。

走行距離は往復100km近くになるが、基本UP Downの少ない道なので疲れるってことは無いけど、(あまり水分補給しない性質なので)脱水等で熱中症にならない様に注意は必要だ。

 

市街を抜けると、いつもの様に長良川左岸堤防道路を背割堤へと走る。

ここでの走りが今日の調子を測る一つの指標だが、30km/hrほどの巡航でも脚が軽快に回ってバイクを走らせられるのでまずはOK。

また、風はソコソコあるがこの時期にしては珍しく西寄りなので、あまり走る抵抗にはならないのは嬉しいことだ。(独りで走っていると風は友であり手厳しい敵でもある)

 

背割堤に入って間もなくすると背後から爆音がするので「ん、何だぁ」と振り返ると、ヘリコプターが1機こちらに向かって飛んで来た。

どうも防災ヘリの様で、先ほど堤防下の駐車場に警察官らしき14~5名が整列していたことから推察すると、これから水難事故を想定した訓練が始まるらしい。

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  水難訓練?に向かう県警ヘリ     滔々たる木曽川の流れと並走する背割堤

以前、もう少し下流自衛隊が船を使った架橋訓練をしているのを見たことがあるが、この辺りは木曽川下流域で流れも緩やかなため、色んな訓練がやり易いのだろう。

野次馬的興味が湧いたが、ここはグッと我慢して先を急ぐ。

それにしてもこの暑い最中の訓練ご苦労さん、最近の公務員の意識はどうか知らないが「公僕というのは本来辛いもんです」と独り呟いた・・・。

 

木曽長良背割堤を快調に走って”船頭平河川公園”まで来た。

居宅を発って1.5時間弱、ここの東屋は小生御用達の休憩場所なので、いつもの様にその下で一休みしていると、突然「ジジジィー」とブザー音が鳴り響いて、それまで辺りを包んでいた長閑さを掻き消した。

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    船頭平は定番の休憩地        この水門を通って船舶が行き来する 

ここには木曽川長良川を結ぶ閘門(水位差ある川で船舶を行き来させるための水門)があるので、どうやらどちらかから通り抜けたい船が来たようだ。

これを機に休憩を切り上げて出発、あと15kmほどなのでそれほど急ぐ必要は無いが、海を眺めてノンビリするならここでの長居は無用だ。

 

R-1の伊勢大橋を渡り揖斐川右岸沿いを河口に向かって走る。

車通りの多い道なので路側帯を走るが、ガラス片がいたる所に散らばっていてちょっと厭な気分。(過去に2度ライド中にタイヤを切って随分困った経験がある)

「こりゃぁ堪らん」と”七里の渡し址”からは護岸堤防の上を走ることにしたが、これも途中で行き止まりとなってがっくり。

折角河口まで護岸堤防があるんだから「この上をずっと走れる様にしてくれよ」と独り不満をブツブツ呟いてみたが、残念ながらその願いが誰かに届く筈もない・・・。

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”七里の渡し址”からの茫々たる眺め

河口の突端で護岸を越えると視界一杯に伊勢湾の海原が広がり、次いで磯の匂いが鼻孔をくすぐってここが海に間違いないと教えてくれる。

海浜には磯釣りを楽しむ4人家族と若者が2人、他には誰もおらず打ち寄せる波音だけが静かな空間に一定リズムの動きを与えていた。

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寄せる波音も静かな晩夏の海

海岸に腰をおろして、沖合を行く数隻の貨物船に視線をやりながら、あの船は外国船?何処から来て何処へ行くんだろう?外洋は揺れるかなぁ?と独り物思いに耽りながらの安らぎの刻を過ごす。

小生は船酔いする性質で船は苦手、随分昔に太平洋フェリーに乗って北海道に行った時は散々な目に遭ったし、たった1時間弱の伊勢湾フェリーでさえ気分が悪くなる。

「歳をとったらのんびり船旅」と言う人がいるけど多分小生にはそれは無理、味気ないけどジェット機でひとッ飛びするしかない・・・。

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河口対岸のナガシマスパーランドの喧騒もここまでは届かない

なんだかんだと20分余り休んで充分に海の風情を満喫したので「そろそろ帰るかぁ」と腰を上げる。 

帰路は往路をそのまま戻っても面白くないので別ルートが基本、揖斐川右岸沿いを北上して木曽三川公園からは海津⇒輪之内と走り継ぐルートを想定した。

 

揖斐川の右岸堤防道路は木曽三川公園の先で道が途切れるためか、車通りが少ないのでローディーには走り易い道。

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木曽三川公園へと向かう道

其処を気持ちよく走っていると、後方からクラクションの音が鳴り響き、その突然の音に一瞬「ビクッ」と身が縮こまる。

走り難い路肩を走っているのに「それは無いだろう」と独り毒づくが、そんなつぶやきは聞こえる筈も無く、直後に1台の車がエンジン音を残して小生を追い越していった。

車の運転手は”どう動くか分からない自転車”に車の存在を知らせるだけのつもりだろうが、いきなり大きなクラクション音を聞かされる当方としては「安全確保ならまず徐行だろうが」と、何とも”腹立たしい行為”にブツクサブツクサ・・・。

 

多度で揖斐川に架かる橋を渡って木曽三川公園の展望タワーの下で一休み。

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油島大橋を渡って木曽三川公園でちょっと休憩

喉がカラカラで、自販機で買った清涼飲料がこの上なく旨い。

500mlの水分が忽ち食道を潤し胃袋に収まってしまったので、あと30kmほど残す帰路に備えて、もう1本買い求めてウォーターボトルに詰めた。

 

長く休むと走り出しの疲労感が増すので10分ほどで休憩を切り上げ出発。

「よぉーし此処からはNo Stopでいくぞぉ」と元気を取り戻した脚に力を込めてペダルを踏んだ・・・。