風を道連れに

☆あるボッチローディーの独り言☆

静かな刻(とき)を愉しむ

 

”美しい花には棘がある”は、そういうもの?に触れて痛い目にあった者(小生もその1人かな?)にはよく解ることわざである・・・。

さて今日は、棘は無いものの花・茎・根に毒があるヒガンバナ曼珠沙華)の美しさを真近で観て楽しもうと津屋川へライドすることにした。

この時期ヒガンバナは近所の土手でも咲いているが、紅い絨毯の如く群生する様を観るには名所と云われる処まで行くに限る。

 

街中を抜けて長良川左岸堤防道路に出ると、一気に視界が開けて右手前方に養老山地の青い連なりが望見できる。

晴々気分で快適に飛ばせる長良川の堤防道路は小生一押しの道

目指す津屋川はその連なりが中央部で少し窪んだ辺りの麓に位置するが、取り敢えずはこのまま長良川下流へと走る。

最近は山の方(東・北・西)ばかりライドしていたので南の方に向かって走るのは久し振り。

平坦で信号も無い1本道なので、脚が回る様になると次第にスピードが上がって既に30km/hr超「よーし今日も調子良さそうだぞぉ」と自己満足げに呟いた。

 

平日なので木曽長良背割堤を走っているローディーは居無さそう。

この道は今でこそ近在の自転車乗りに大人気のサイクリングロードだが、10年前までは全線オフロードで、極たまに物好き?な人がマウンテンバイクで走るだけだった。

国交省に感謝しなくっちゃな・・・」そんな愚にもつかないことを思いながら無人の舗装路を快速?で飛ばす。

 

木曽三川公園の展望タワーが真近に近付いてきた辺り、何気に長良川に視線を落とすと普段は水面に隠れている岸辺が露になっていた。

「なるほど、台風の増水で河口堰を開いたな」と即座に理由を推測。

河口堰の放水であらわになった長良川の岸辺

この辺りはもう伊勢湾に近いので、潮の満干が川の水位に影響して木曽川揖斐川では岸辺が見え隠れするが、河口堰のある長良川にはそれが無い。

「珍しいものを見たなぁ」と何だか得した気分になったが、人間って他愛のないことを嬉しがるもんだ。

 

木曽三川公園センターはスルーして最寄りの水郷パークへと向かう。

最近の小生のトレンドは此処で、あまり人も訪れないので独りユックリ寛げるところが大いに気に入っている。

池のほとりのベンチに腰を下ろして山と池で構成される風景をぼんやり眺めていると、どこかのリゾート地に居る様な錯覚さえ覚える。

こういうところで景色を眺めて寛ぐのが好き・・・

海津で揖斐川を渡り養老鉄道に沿って美濃街道を駒野へ走る。

ここまで来れば津屋川はもうすぐ、急ぐ必要も無いので途上道沿いの趣のある常夜燈や駒野橋に立ち寄りながら行くことにした。

この辺りは古くからの町なので、小生の好きな”歴史を感じさせるもの”が数多く残っていて愉しい。

 

養老鉄道は山ぎわを走る          ゆったりと流れる揖斐川
常夜燈は大神宮信仰の礎         趣ある擬宝珠欄干の駒野橋

R-258を横切って津屋川堤防道を上流に向かうが、東海環状自動車道の高架工事で何と通行止め「あと少しなのになぁ」と前方に目を凝らすと、例年紅い絨毯が堤防法面全体に拡がる辺りにはポツポツと紅い塊が見えるだけ。

見頃には早すぎた気配を感じてチョット落胆するが「まぁ仕方ない」と諦めて迂回路を先へと進み、真近からヒガンバナの群生を鑑賞することにした。

道脇に群生するヒガンバナ

所々ヒガンバナの群生地はあるものの、花弁がまだ蕾状態のものも多く見頃は1週間は先といった感じ。

水辺に多くの開花したヒガンバナが見られるのは、最低気温が20℃前後になると地中の球根から花茎が一気に伸びて開花するこの花の特異な性質のせいなのだろう。

「このところ高い気温が続いてるからなぁ」そんなことを思いながら岸辺にあった石に腰掛けてぼんやり花を眺める。

すぐ傍を流れる小川の瀬々らぐ音が心地良く耳に届き、その長閑な雰囲気に横になって微睡みたくなるが、ヒガンバナは毒花、何かあってはいけないとそれは止めた。

川辺では静かな刻が流れていく・・・

「さぁ帰ろうかな」他の見物客が近くに来たのを機に重い腰?を上げて帰途につくことにした。

ここからだと今尾橋で揖斐川を渡って平田⇒輪之内⇒安八と繋ぐルートが走り易い。

「久し振りに”お千代保さん”に寄ってみるかなぁ」そんなことを思いながらペダルを 踏む脚に力を入れた・・・。