風を道連れに

☆あるボッチローディーの独り言☆

海の方へ

 

梅雨も明けて今日も朝から陽光の降り注ぐ暑い日。

こんな日は「高原の白樺道を涼風を受けて走りたいなぁ」とメルヘンチック?に思ったりするのだが、所詮それは夢想に過ぎず実行する意思も無いことは解っている。

それじゃ美濃の山手にするか?と現実案を頭に浮かべるが、「汗滴らせて坂を登りたく無いなぁ」との否定する声も何故か強いので、結局山手ライドは敬遠して海の方(南)へと向かうことにした。

 

岐阜から羽島へと走りまず向かったのは羽島温泉横の大賀ハス園で、丁度蓮の花が見頃を迎えているらしいので、チョット野次馬的に観ていくことにした次第。

大賀ハスと云うのは、1951年に千葉県の東大農場で発掘された2,000年以上前の蓮の実を発芽・開花させたもので、その実は全国各地(30数か所)に移植されていて、ここもその移植地の一つ。

ピンクがかった大輪の花を観ながら、古代(弥生時代)の人達も「この花を見て感慨に耽ったのかな?」と徒に自分の姿を投影してみた・・・。

ここの大賀ハスはピンクの発色が少し控えめな感じ

長良川左岸堤防道路を経て木曽長良背割堤へと進む。

久々(3ヶ月振り?)の背割堤なので、視界に入る物を新鮮に感じるがそれも最初だけの心証。

見慣れた景色に「スピードを上げるか」とペダルを漕ぐ脚に力を込め、前傾を少しだけ強くした。

と、バックミラーで後方を見ると、何やら黄色いものが追走してくる感じで、どうやら入口ゲートで追い越した国交省の河川管理巡回車が迫ってきてる様だ。

「よし、競走だな」と自分勝手に決めて更にスピードを上げた。

 

息を上げながら3kmほど走るが、その巡回車は後方40mくらいまで追い付いてきた。

「もう抜かれるな」と覚悟し、スピードを緩めバイクを路肩へと寄せて車が横に来るのを待つが、しばらくしても全然来ない?

「ん、どうした」とバックミラーで後方確認すると、何と巡回車が忽然と消えていた。

つい先ほど県境(岐阜と愛知)を越えたのだが、河川管理って県境で管轄区分されるんだっけ?

木曽川長良川もれっきとした1級河川で、国交省が管理する河川だから、もしそうだとしたらこれは実に不可解だ・・・。

木曽川ビオトープが整備されていた     あと1kmほどで背割堤南側ゲート 

背割堤の南側ゲートを出て、そのまま堤防道を船頭平河川公園へと走る。

この道は、大型車両が数珠繋ぎになって走るのでいつもは避けるが、今日は気の緩みに慢心が手伝ってつい進入してしまった。

案の定、途中で5台の大型車に抜かれたものの、何れも小生から離間距離をとってくれたので、怖い目に遭うことが無かったのは幸いだった。

「運転手さん邪魔してゴメンそして安全に抜いてくれてアリガトウ」と遠ざかる車両に向かって感謝の言葉を投げた。

 

船頭平河川公園の東屋で小休憩。

ここは訪れる人も少なく、誰気兼ね無く休めるところが小生のお気に入りで、汗ばんだ身体を涼風で癒していると、突然辺りの静寂を切り裂いてブザー音が鳴り響いた。

ここには木曽川長良川を繋ぐ堰水路(閘門)があり、どうやらそこを通る舟が来たらしい。

先刻見た木曽川の水位は高かった(長良川は河口堰により水位は常時ほゞ一定)ので、多分短時間で通過出来るだろうが、それにしてもどんな人がここを舟で行き来するんだろう?

チョットだけ興味が湧いたが、わざわざそれを確かめに行くことはしなかった。(小生は面倒くさがりの性格なので)

穏やかな時を刻む様な雰囲気の東屋で休憩

ここから堤防道は長良川左岸と木曽川右岸に分岐するので、長良川左岸を選択して長島へと向かう。

この堤防道は、木曽川右岸と違って車があまり通らないので、左右に視線を投げながら走っても大丈夫。

最近覚えた女性演歌歌手の歌を口ずさみながら、ペダルをゆっくり回して進むのも気分の良いもんだ・・・。

 

R-1との交差点(伊勢大橋東詰)に着いて「さてこの先どうするか?」と思案。

直進すれば ”ナガシマスパーランド” で堰堤の向こうは海(伊勢湾)だが、右折すると 桑名市街で左折すると弥富に向かうことになる。

久々に潮風に吹かれてみたいが、そうすると往復16kmとして休憩を含むとまず1時間はかかってしまう。

「うーんどうするかなぁ」頭を抱えて(チョット大袈裟)考えた末、時間的にきついと判断して、結局弥冨に向かうことに決めた。

この風景の先に伊勢湾が拡がっている

弥冨の水郷公園で、海の方を眺めながら「もし向かってたら今頃はあの辺りか」と想像して愉しんだ後、踵を返して木曽川左岸沿いの隘路を北へと向かう。

東名阪道の先で堤防道路に上がると、一気に視界が開けて雄大な景色が眼に飛び込んで来た。

小生は”揺蕩う木曽川の流れと青く連なる鈴鹿の山嶺”と云うこのロケーションがとても好きだ。

1,000m超で続く鎌・御在所・釈迦・竜・藤原の山々にはそれぞれ登った時の想い出があり、今でもその1コマ1コマをありありと思い出すこと(多分脳内で相当デフォルメされてる)が出来る。

左から鎌・御在所・釈迦・竜・藤原の山が連なる

雲がかかって見えない御池岳(鈴鹿山脈最高峰)に登った時のこと、山頂近くの草むらでガサガサ音がしたので何事かと見ると、大きなマムシ山鳥を捕まえ口に咥えた丁度その時だった。

獲物はみるみる内に呑み込まれ、マムシの身体は4~5倍に膨れて異様な形に・・・。

ツチノコと云うまだ捕獲されてない未確認生物?だが、あれは”獲物を呑み込んだ直後のマムシ”を見て(小生の様に)新種生物と思い込んだだけのことじゃないか?

事の真相なんてものは大概そんな”単純な思い込み”が根底にあるもんだ。

 

立田大橋を渡って木曽長良背割堤まで戻ってきた。

時刻は正午も30分ほどを過ぎ、ギラギラした陽射しと路面の照り返しで、気温は一段と高くなっているが、体感温度の方は、弱い追い風を受けて快走できるせいでそれほど上がらないので助かる。

しかし、茫洋とした視界の片隅、金華山と思しき山影が霞んで見えており、あそこまでは30kmはあるので、ここで調子に乗ってスピードを上げると最後まで持たない懸念がある。

「自重するかぁ」誰も居ない走路に向かってボソっと呟いた。

  養老山地の緑が清しい          誰も居ない道を独りいく

背割堤を出た後、水分補給するために自販機に寄り道しながら羽島(堀津)まで帰ってきた。

ここからは長良川左岸河川敷の河川管理道路に走路を変えて岐阜市街へと向かう。

チョット走り疲れた身体には、車に煩わせられず走れる道が望ましい。

それが自分への”優しさ”ってもんだ・・・。

岐阜市街まであと少し(岐阜市日置江付近)