風を道連れに

☆あるボッチローディーの独り言☆

川沿いは気分良し

 

朝食を済ませたあとに、珈琲を飲みながらのんびり(年金生活者なもんで)TVの情報番組を観ていたら、”ゆるブラック企業”なるものを話題として取り上げていた。

長時間労働や過度のノルマ、パワハラ等が横行するブラック企業とは逆に、長時間労働は無く職場の雰囲気も悪く無いが、成長実感は得られず将来性も乏しい企業のことを、今はそういう風に呼ぶらしい。

話を聞いていて意外だったのは、アンケートに回答した人達のなんと6~7割が、自らが勤める会社を”ゆるブラック企業”だと思っているということ。

日本経済の低迷が叫ばれる様になって久しいが、もしこの見方が現状の日本企業の実態を正確?に捉えているとしたら、それはこの先も経済の低迷が続くことを暗示しているのであり、一刻も早く成長の道を再び走り出して欲しいと願う小生としては、正に暗澹たる気分にならざるを得なかった。

 

とは言え、こう云うことが話題になるのは、当の企業もそしてそこに働く多くの人達も、何らかの問題意識を持っている証左でもあるので、そこに現状打破の望みが無い訳でもない。

現役ではない純然傍観者たる小生が勝手なことをほざく様だが、大概の企業は保守的でイノベーションするのは嫌がるもの、しかし現状維持では先細りが明らかなので、是非ともリスクを冒して社内の諸体制を刷新し、社員の”働き甲斐”の醸成に努めて貰いたいものだ。

一方、社員の方も会社が動くのを待つ受け身体質はもう止めにして、能動的に行動して社業の発展に寄与することが求められるのは当然だ。

そう云う両者の相互作用があってこそ、”ゆるブラック企業”は”ホワイト企業”へと変貌するのではないか?

そんなことをつらつらと思いながら、カップの冷めた珈琲を飲み終えた・・・。

 

 

さて今日は大気が不安定で、(今は良い天気なのに)午後からは天気急変で雷雨や雹の恐れもあるというので、遠出はやめて近場をササっと走ることにした。

とりあえず頭に描いた走行ルートとしては、”長良川から揖斐川と川沿いを走って南濃辺りまで行き、そこから東進して木曽川に出たら川沿いを北上して戻る”という謂わば木曽三川を周遊するライドと云ったところだ。

 

市街を抜けて長良川左岸堤防に出ると、そこからはしばらく河川敷管理道路を走る。

路傍に群生するススキが随分と背丈を伸ばしており、そこへと眼をやると白穂が微風に揺れていて、それが如何にも秋の風情を醸している様で好ましい。

この時期はいつもウェアの選択に迷うのだが、今日も出がけに「ベストを」と思ったが「まぁいいや」と見送ったのが拙かった。

そんな訳で、薄手ジャージにアンダーだけのため先ほどまで少し肌寒かったが、ここにきて漸く身体が温まってきたので、その安堵に胸を撫でおろした。

長良川河川敷の道を軽快に南へ走る

長良大橋を渡って墨俣から安八へと向かう。

道すがら秋桜畑のピンク色を見つけたのでちょっと寄り道して鑑賞。

家庭の庭先で可憐に咲く秋桜も良いが、1haほどの畑を覆う様にして茫洋と咲く秋桜も見栄えがしてこれもまた良い。

春の蓮華と秋の秋桜、何れも緑肥(栽培作物の肥料)として田畑に植えられる様だが、最近増えたこの様な化学肥料に頼らない農法の復興(昔は蓮華畑がいたる所にあった)は、ナチュラルなものこそ最善と考える人達にはさぞ喜ばしいことだろう。

(実を言うと小生は有機農法の信奉者ではない)

秋桜を観ていると何だかほっこりした気分になる

大垣一宮線の大垣大橋で揖斐川を渡って、そのまま右岸堤防道路を東大垣へと向かう。

木曽三川の堤防道路は概ね車の通行量が多いのだが、この辺りの堤防道路は例外的に車の通行が少なく(多分近くを幹線道が走ってるから)この揖斐川の道もソコソコ自転車には走り易い道と言える。

そんな訳で、いつもの様に前方180度に広がる景色を愛でながら走るが、今日は煙霧で遠くの視界が悪いため、伊吹から養老へと続く青い山並みもよく見えないのは少し残念ではある。

生来の癖であれこれ物思いに耽りながら走っていると、視線の先に福束大橋の青い橋梁が見えてきた。

「さて、この先どう走るかなぁ?」

上流側    福束大橋から揖斐川を観る    下流

結局、橋を渡って左岸堤防に走路変更して先へ進み、今尾橋でまた右岸側へと戻った。

右岸へ戻るなら走路を変えなければいい様なもんだが、そこは小生の気まぐれ(右岸道は少し舗装が悪い箇所があるのも理由?)だからしょうがない。

此処から3kmほどは、川と草原と山々を愛でながら走る気持ちの良い道で、その景観がバイクを駆る愉しさを満喫させてくれるのが嬉しい。

ハンドルから手を放して深呼吸すると、肺に満たされる清澄な空気の作用で、身体全体がどんどん覚醒していく感じがした。

今尾橋の袂から進行方向を眺望
   気分の上がる快適な道        前方に橋が見えるとこの道も終わり

福岡大橋を渡って揖斐川に別れを告げ、そのまま東進して木曽川を目指す。

信号が多くてイラつくr-8は避けて、遠回りでも裏道を行くのが小生の流儀、分岐を右に折れて高須街道へ入ると、車も途絶えて静かになった。

海津の街を過ぎると大豆畑が広がっており、その中を貫く1本道を快走するのも愉しいもんだ。

収穫を待つばかりの大豆畑の中を快走する

東海大橋で長良川木曽川を続けて渡り、ここからは左岸堤防を上流へと向かう。

この辺りは道沿いに松林があるが、所々で樹が赤く枯れていてどうも”松枯れ”の被害が酷い様だ。

大昔(30数年前)のことだが、松枯れの予防法を教えて貰おうと筑波の国の研究機関を訪ねたことがある。

あの頃は「線虫の媒介昆虫(カミキリ)を駆除するしか有効な手立ては無い」とのことだったが、あれから研究はどのくらい進展したんだろう?

木曽長良背割堤でもここ数年で大きな松が何本も枯れたが、そう云うのを見ていると、生き物相手の対策ってのはやっぱり難しいのかも知れないと思う。

木曽川   背割堤を挟んで流れる2つの大河   長良川

こんな風に枯れた松は早めに伐採するしかない

馬飼大橋の袂で岐阜県側に渡る(長良川堤防に出る)か迷ったが、「それじゃ詰まらんなぁ」と思い直して、そのまま木曽川左岸堤防を走ることにした。

何と言っても今日のテーマ?は”三川周遊”なので、木曽川沿いを走る距離が短くちゃ話にならない。

馬飼大橋は堰の役割もある多目的橋

尾西で走路を ”木曽川CR” に替えると、少し気が抜けて軽い疲労感が襲ってきたので「ちょっと休むかぁ」と手頃な川辺のベンチを見つけて一休み。

滔々と流れる川面を観ながら穏やかな陽差しと仄かな風に吹かれていると、何時までもそうして居たい気分になる。

川辺に設けられたベンチは安らぎスペースでもある

のんびりと10分ほども休んでしまったので、少し後悔しながらバイクに跨りクランクを踏む足に力を込める。

走り出したあとに「40分ってとこかな」と居宅までの道程を脳裏に描いて独り自問自答した。

尾濃大橋を渡って帰途につくことにした