風を道連れに

☆あるボッチローディーの独り言☆

夏は好きだけど

 

ここ連日の猛暑に、夏好きの小生もさすがに気が萎えるが「これで負けてたんじゃ男?がすたる」とばかりに、渋る気持ちを叱咤して今日も出掛けることにした。

行先は、根尾から雛倉にかけての里山地域で、少なからず“川辺と山陰の涼”を期待してのライドではある。

 

河渡橋で長良川を渡って北方町へと走る。

ここまで来ると後方の金華山が遠く小さくなって、岐阜市街からはかなり離れたことを実感させるが、ここ10年でこの辺りも随分と住宅等が増えて市街地化(地方都市の例に漏れず岐阜市ドーナツ化現象が顕著)されてきており、その結果、郊外の農耕地等が徐々に消えていく状況がある。

こうした現状を眼にして一抹の寂しさを感じてしまうのは、小生の陳腐な感傷に過ぎないが、あまり農業を粗末にすると、将来に“手痛いしっぺ返し”が待っていると懸念するのも杞憂に過ぎなければいいのだが・・・。

 

真正町まで来ると田畑・果樹の耕地が多くなり、そう云う田園風景が好きな小生の気分はようやく上がり調子、15kmほど走って軽く廻る様になった脚との相乗効果でバイクを軽快に走らせていくと、前方に根尾川に架かる薮川橋が見えてきた。

ここからは堤防道を山に向かって走るが、午前中なのに気温は既に30℃を越えており、期待したほど川からの涼風は無いので、ムッとした暖気に身体の内部発熱も加味されて体温はうなぎ上りの様相だ。

熱気の中を正面の山の麓を目指す

根尾川沿いに雁又山の山麓を巻いて万代橋まで来ると、辺りの雰囲気も変わって川から少しだけ涼風が吹いてきた。

対岸の河原には数多くのテントが張られ、其処彼処からの嬌声が微かな音となってここまで届く様だが、案外それは空耳かも知れない?

小生も昔(30年も前)は家族であんな風にしてよく河原で遊んだものだが、今ではそれは羨望?のまなざしで見つめる他人事でしかない。

そう言えば、「あの夏に、当時小学生の長女が夏休みの研究として提出した “河原の石調べ”は、県コンクールで入賞して表彰して貰ったなぁ」と、だしぬけに記憶の淵から浮かび上がった古き些事を、脳裏で再生して独りしずかに懐かしんだ・・・。

この辺りまで来るとようやく涼しさが体感出来る様になった

谷汲長瀬からはr-255(根尾への旧道)に走路をとる。

根尾川左岸側のR-157は車通りが多いが、こちらは車がほとんど通らない道なので、 絶えず後方確認しなくても安心して走れるのが好い。

傍らを流れる根尾川には釣り人が点在しており、その涼やかな姿が“一服の清涼剤”の様に“うだる”小生の心身を冷まし癒してくれる気がした。

道は上がり基調なので快走すると云う訳にはいかないが、それでも視界いっぱい広がる山と川が織りなす野趣溢れる景色を、ここぞとばかり満喫しながら行くのも結構気分の良いもんだ。

  r-255は根尾川沿いを行く旧道      アユ釣りの人達は涼しいだろうなぁ 

高科を過ぎると道はいよいよ林道然としてくるが、ここから高尾までの6kmあまりの道のりは、今日の行程中で小生が一番好きな走路でもある。

だからこの“お気に入りの閑静な道”はゆっくりと走るのが常なのだが、先日「根尾の奥で人がクマに襲われた」とのニュースを耳にしていたので、「もしここでクマに出くわしたら・・・」と思うと、そんな悠長な気分ではいられないのがその時の本音。

クマの走力は40km/hr以上で、バイクで逃げても小生の脚力ではすぐ追いつかれるし、鋭い爪で横殴りされたらこの老体は一溜まりも無い。

そんな訳で、辺りの気配に注意しながら行くので走路を愉しむ余裕はほゞなし、なんか損をした気分がしないでもなかったのは、これまた事実であった。

渓谷美で魅せる鍋原辺りの根尾川       樹陰も濃い林道然とした走路 

樽見に着いて「さぁこれからどうしよう?」と考えた。

先に進んで馬坂峠との分岐まで行くか?or少し遠回りだが尾並坂峠を越えて帰るか?

だが、この暑さで小生の心身は少なからずバテ気味で、心の声が「そんなに無理をせずここらで帰ろうや」と囁きかける。

何故なら、先日もライドの帰途に太腿が攣って“軽度の熱中症”になったので、同じ愚を繰り返したら「お前は馬鹿か」と謗られる恐れもあるからだ。

そんな訳で「ここは無理をしちゃダメだよな」と自戒して、素直に心の声に従うことにした。

樽見の開運橋からは能郷白山がよく見える

帰途はいつも“気が急く”ので素通りする日当に寄り道することにした。

ここの駅舎(樽見鉄道)の前後はトンネル+鉄橋になっており、其処を通る車両を間近で見られるので鉄道ファンには人気の場所。

小生は鉄道ファンではないが、常々その光景を見たいと思っていたので寄ってみたが、着いた時は車両が通った5分ほど後で、次の通過まで30分近く待つ必要があると判ってあっさり断念。

「まぁその内見られるさ」と捨て台詞?を残して“小さな駅舎”を後にしたのだった。

トンネルを貫けて気動車が来る様子を見たかったが・・・

金原からはr-79(里山かおり街道)に走路をとり、金坂峠越えで雛倉へと向かう。

この街道沿いには“里山らしい風景”が随所に広がってるし、車通りも少なく安心して 走れるので、小生一押しの道と言っても過言ではない。(それほどでもないか?)

金坂峠を下った先には長閑な里山風景が広がる

鹿穴峠の上りで少し汗を掻いたあとは雛倉へと一気に下る。

風を切り裂いて走る快走もあと少しで、その先は炎熱のかげろう道を15kmほども走る苦行が待っている。

「その前にどっかで水分補給しよう」と頭の中で自販機の在り処を探した・・・。