風を道連れに

☆あるボッチローディーの独り言☆

秋と冬の狭間で

 

今更言うのもなんだが、不条理が罷り通るこの世界にやるせなさが募る。

新聞を開くと、目に付くのは各地での紛争やそれに苦しむ人々の動向ばかりで、明るいニュースは殆どない。

ウクライナパレスチナミャンマー、香港等々、強者がその武力を使って弱者を従えようとするのは ”犯罪行為 ” 以外の何物でもないのに、それを皆でこぞって糾弾・阻止できないのは、そこに各々の利害と思惑が絡むからだが、それをうまく調整して収める役割を担う国連が全く機能してないことが、これらの問題の根を一層深くしている。

 

先の大戦から78年を経てもう遠い過去の事績となったその戦勝5ヶ国が、安全保障理事会で拒否権を持つ常任理事国を永続的に続ける陳腐な制度的弊害が、今ここにきて顕著になってきた。

本来、拒否権などと云う国連の合意形成を簡単に反故にする特権は、どの国であっても持つことは許されないものだ。

特に近年は、米国、中国、ロシアが当事者or後ろ盾となる国際紛争が多いだけに、その思いを強くするのは小生だけではあるまい。

 

グローバルサウスの台頭という国際情勢変化を鑑みても、国連は今大きな曲がり角へと差し掛かっているのは確かな事実。

あえて暴論を吐けば、今の安全保障理事会は即刻解体して、新たな理念に基づいた安全保障体制を再構築すべきだろう。

そうしなければ世界の将来は”本当に危うい”ところまで来ている。

 

とまぁ、そんなことをつらつら思うのだが、現実世界は昨日と変わることなく今日明日へと流れていくのは解っている。

それ故に、小生のやるせなさは明日以降も朝新聞を開く度に訪れるのだ・・・。

 

 

さて今日のライドでは、根尾へと向かうことにした。

昨日、市立図書館に向かう道すがら何気に北西方向を望むと、濃尾平野の北西端をから奥美濃へと続く山襞の奥に雪化粧した幾つかの山があり、その中でもひと際白く輝いて能郷白山が見えていた。

その時「もう山は冬だなぁ」の感慨と共に、「これから数か月は根尾方面へは行けなくなるなぁ」との思いが脳裏をよぎり、それで年内最後の根尾行を決めたと云う訳だ。

 

いつもの様にまずは長良川右岸堤防に出てから、広がる視界の中で走行ルートの概略を頭に描く。

河渡⇒北方⇒真桑と走り、古墳公園通りを北上して織部からは根尾川沿いを万代橋へ、その先は右岸沿いに走路を替えて根尾まで走る。

「よしこれで決まりだな」と独り納得してペダルを踏み出す。

天気は雲一つない快晴で、風はほゞ無く気温も快適というか重ね着したウェアでは少し暑いくらいだ。

長良川堤防から根尾方面を望む(右奥の雪山が能郷白山

途中の信号交差点が続く箇所でその都度停止させられイラつきながらも、まぁまぁ順調に走って織部のセメント工場脇まで来た。

此処からは走路も山間の道となるので、車と並走する煩わしさから解放されて走り易くなる。

それにしても対岸の山は随分と削り取られたもんだ。

その昔(小生が高校生の頃)この近くに住む友人を訪ねて来た時分には、まだその山体の大部分が残っていた様に記憶するが、日本の経済成長と軌を一にするセメント需要の高まりと共に、徐々に削られて今の姿になったことを思うと感慨深いものがある。

今は経済的活力を失ってしまった日本だが、またいつの時にかあの時代の再来と云える活況が人々に至福感をもたらす日々が来るのだろうか?・・・。

根尾川に沿って走路は奥へと続く

樽見鉄道のローカルな沿線風景や根尾川の渓谷美へと寄り道しながら、快適にペダルを漕いで鍋原まで走って来たのだが、これから細い山道という所で事態は暗転し、予想外の通行止めに行く手を阻まれた。

「なんだよぉ」と愚痴が口から洩れるが、先に進むには走路を替えるしか手はない。

仕方なく橋を渡ってR-157へ出ると、そこからは山越えの2.5kmの長い上り。

斜度はきつく無いがダラダラ上がるので、根っからの坂嫌いの小生には少なからず嫌な道だけど我慢するしかないと諦めた。

長い上りに比べて下りはアッという間に終わり、「これってちょっと不公平じゃない」と思うのは小生の狭量さの表れか?

  静かな佇まいの高科駅         前方の踏切を気動車が通過した
  陽光に煌めく根尾川渓谷        無情の通行止めに行く手を阻まれる

高尾で根尾川右岸へと戻って(車通りの多い道はあまり走りたくないので)開運橋まで走って来た。

此処からは能郷白山が良く見えるが、まだ遠くにあって満足できないので、今日はもう少し近くまで行くことにした。

多分(近過ぎると前山が隠して見えないので)、根尾谷を馬坂峠への分岐辺りまで詰めれば更に大きく望見することができる筈だ。

根尾谷は能郷白山の麓へと続く(開運橋上から)

根尾谷右岸側は山陰になって少し寒くおまけに路面も濡れていたので、R-157を走れば良かったと後悔しながらも、そこはちょっと意固地になって走り続ける。

と言うのもR-157を走っていては前方視界を塞ぐ山で能郷白山が全く見えないからだ。

 

大井の集落を過ぎて更に奥へと進むと、純白の雪に覆われた能郷白山が随分と間近にと迫ってきた。

この先馬坂峠への登路に入ると山に視界を遮られるので、白山を望見するのはこの辺りが限度、「此処までかぁ」と名残を惜しむ様に暫く山を眺めてから長嶺の集落へと道を下ることにしたのだった。

能郷白山(1,617m)は越美(福井と岐阜)国境山域(両白山地)の最高峰で、その雄大な山容からすれば日本100名山に名を連ねても異論は無いが、深田久弥は何故かこの山を選ばなかった。

陳腐な郷土愛と言われたらそれまでだが、山好きの小生としてはそれが至極残念だ。

大井集落先の林道から望む能郷白山

うすずみ桜の里でトイレ休憩をとってから帰路につくことにした。

ここの日帰り温泉は泉質が良く露天風呂からの眺望も好いので、過去に何度か利用したことがあったが、残念ながらこの3月末で休業になってしまった。

比較的空いているのも小生がここを好む理由だったが、経営的にはそれが休業に至った原因かも知れない?と考えるとちょっと複雑な心境だ。

老朽化等の施設的問題は無さそうなので、今は何はともあれ早く再開して欲しいと手前勝手に思っている。

温泉広場からは雷倉山から馬坂峠にかけての稜線がよく見える

R-157は温見峠を経て大野(福井県)へ至る国道だが、この時期は峠前後の山道が雪で通行困難になるため、樽見から先は車通行が極めて少ない。

そんな訳で、道沿いに残る秋の名残の紅葉を眺めながら走っても危険事態はまず起こら無いので安心だ。

物見遊山気分で樽見⇒高尾と走り、日当トンネルを貫けたところで「さてどうするかな」とこの先の走路を思案。

R-157をこのまま走るか?or金坂峠を越えて里山かおり街道を走るか?だが、往路との重複をなるべく避けるなら後者だなと結論してそちらに向かうことにした。

名残の紅葉に駆け去る秋の風情を惜しんだ・・・

走路の概略が決まれば後は走るだけ。

まだ今日の予定走行距離の1/3ほどが残っているので、ちょっとダレた気分を払拭するべく、ペダルを漕ぐ脚に力を込めて気合を入れた。

   金坂峠を越えて里山かおり街道へ    街道沿いの里山はすっかり冬支度だった