ここ数日続きの好天で気温が上がったせいか、近所の土手ではタンポポやムスカリ、 チューリップ、カタバミ等が黄や紫、赤、白の花を一斉に咲かせて”春たけなわ”を演出している。
毎年決まって巡りくる春ではあるが、私欲にかられて性懲りもなく紛争を繰り返す人間という不条理な存在とは無関係に、唯静かに時を重ねるだけの自然の営みは一種の畏敬の念を抱かざるを得ない・・・。
そんなことを思いながら花を見ていると「そう云えばハナモモはどうなったかなぁ」と3週間前はまだ蕾だった根尾川ガーデンのハナモモの様子が脳裡に浮かんだので、暇にまかせて確かめに行ってみることにした。
今日も前回同様3~4m/sのちょっと強めの北西風が吹いているので北に向かって走るのはツライが、この時期のライドでは風は付き物として往路で苦しい分復路が楽できると諦めるしかない。
取り敢えずのルートは河渡橋で長良川を渡ってそのまま北進し西郷から本巣へ抜ける道、このルートであれば家並と山陰が多少は風を弱めるから疲労の蓄積が軽減されると手前勝手に思ったのだが、いざ走ってみると交差点が多く路面状態の悪い区間もあって少なからずストレスを感じる”小生好みじゃない道”だった。
しかしこれも選択の結果だから受け入れざるを得ない、いつもいつもルート選びが正解という訳にはいかないのは「神様じゃないから仕方ないな」と独り呟いた。
小1時間ほど走り続けてようやく根尾川のほとりに着き、ここから先はR-157を走って 根尾川ガーデンを目指すことにしたのだが、樽見鉄道の木知原駅前を通りかかった時に小生の目線がカメラを抱えた幾つかの人影を捉えた。
「ん、これはひょっとすると・・・」即座に停まって近くにいた女性に「汽車が来るんですかぁ」と尋ねると「2分後に来るみたい」との返事が返ってきた。
運行本数の少ない樽見鉄道で駅に停まる汽車(ディーゼル)をカメラに収めるチャンスなんてそれ程ザラにあるもんじゃない(前回ライドで高科駅で休憩中に偶然にも汽車がきたということはあったが)ので、ここは ”俄か鉄道マニア” に変身してしばらく待つ ことに。
汽車を待ちながら件の女性に話しかけると、女性は「今朝一宮の真清田神社を出発して淡墨桜まで歩いて行く途中」とのことで、今年の ”淡墨桜浪漫ウォーク” はコロナ禍の ため中止になったので日を変えて独りで歩いていると言う。
真清田神社から淡墨桜までは約60kmの距離、速足でも10時間以上かかり結構ハードな歩きが要求される。
小生も山歩きのトレーニングとしてジョギングやウォーキングを日常的にやっていた 20年ほど前に一度トライしてみようと思ったことがあるが、結局は実現することなく日々が流れ、その後脚を病んで(変形性足関節症)今では長い距離は歩けない不自由な身となってしまった。
「やっぱり思い立った時にやらなければ後悔するなぁ」女性の話を聞きながらも心の中では小生自身の性癖でもある優柔不断さを少しだけ恥じていた・・・。
写真も撮り終え女性に「道中気を付けて」とエールを送って出発、道草で時間を使ったので少しスピードを上げて走ることにしたが、あと6kmほどなのでそんなに急ぐ必要はないとチョットだけ自制。
神海を過ぎると道は大きく右にカーブしその先で左に曲がり返すと左手前方に根尾川 ガーデンが見えてくる。
「どうだハナモモは咲いてるか?」と目を凝らす先に濃いピンク色の固まりを確認してホッと一息「やれやれ無駄足にならずに済んだ」と安堵のため息が漏れた。
ハナモモはざっと見八分咲きほどの開花状況でここ1週間が見頃という感じ。
ベストタイミングでは無いが、開花情報を誰かが発信してくれない限り満開に合わせて来るなんて出来ないから「これで良しとするかぁ」と自ら納得。
小さなガーデン内は以前よりハナモモの本数が減った印象で、脳裡に浮かぶ濃いピンクに埋めつくされた記憶画像とは随分違う。
「木を整理したのかな」と思ったがどうも小生の記憶の方が間違っていると考えた方が良さそう。
人間が記憶を簡単に捏造するのは周知の事実で、無かった事を有った様にして思い出すなんてことは”お茶の子さいさい”の所業だから多分この見方に間違いはない。
何はともあれ目的のハナモモは堪能したのでそろそろこの場を後にすることにした。
「さてこれで帰っちゃつまらないので何処へ行こう・・・」
淡墨桜は混んでそうなので敬遠するとして「谷汲(華厳寺)に寄って大野経由で帰る のが時間的に良さそう」と次案がすぐに浮かんだので躊躇なくこれに決定。
鍋原で根尾川を対岸に渡りr-255を南へ更にr-40を西へと走る。
前半は下り基調で後半も谷汲の手前までは平坦なのでスピードを上げて快走した結果 忽ち(は感覚で実際はそれなりに時間がかかったけど)谷汲に到着。
山門から本堂まで続く参道には想定外の人出があって其処をバイクに乗って進むのは ちょっとマズそう、仕方なく途中からバイクを降りて仁王門まで行ったのだがこんな風に参道を歩くのは久し振り、長い(約800m)道のりに若干疲れたというのが本音だ。
この先は階段があるし、然して祈念すべき事柄も今は無いので本堂へ向かうことは断念しここでUターンして帰ることに。
帰路は揖斐に出て揖斐川沿いを走るかor大野に出て三水川沿いを走るかで迷ったが、「敢えて遠回りすることも無いな」と考え直して結局大野ルートを選択。
「よーし、Non Stopで帰るぞぉ」と気合を込めてペダルを踏みこんだ・・・。