風を道連れに

☆あるボッチローディーの独り言☆

秋色探訪

初秋のひと頃に較べて朝晩の冷え込みが身に染みる様になってきた。

土手の桜葉もすっかり落ちて早くも冬支度をしている様で、季節の移ろいの速さに一抹の寂しさを覚える小生である。

里山の秋はどこまで来ているのだろうと思い、バイクで確かめに出掛けることにした。

行先は根尾方面と決め、帰路にチョットした峠越えが入るルートを予定したので、今日のバイクは山用に設えたBARACAN specialを準備する。

歳の性かはたまた体調の性か?最近はちょくちょく出掛けるのを躊躇う自分が顔を出すので「天気は薄曇りで風は北西からの微風だから、ライド条件としてはそんなに悪くはないぞ」とまずは自分を納得させてからの出発となる。

いつもの様に墨俣で長良川を渡り街中の間道を通って北上する。

瑞穂市を抜けて本巣市に入ると道沿いに柿畑が多くなり、たわわに実った果実が取り 入れを待つかのように橙紅に色付いていた。

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収穫を待ち色付いた柿の実

柿の王様と言われる富有柿はこの辺りが原産で、今も多くの生産農家でこの品種を栽培している様だが、糖度25度が以上もあって「天下布舞」と名付けられた柿は初競りで 2個70万円で競り落とされたと先日のローカルニュースが伝えていた。

如何にご祝儀相場とは云え「柿2個で70万は無いよなァ」と独り呟きながら畑中の道を行くと、左奥揖斐の山間に淡く虹が架かっているのが見えた。

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揖斐の山間に架かる朧な虹の裾野

虹を見るのは久し振りだが虹は雨の証拠、あの時雨が根尾谷の方へと来なければ良いがと少しだけ心配になった。

 

根尾川が見えるところまでやってきた。

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秋色薄い根尾川沿いの道

ここからはこの根尾川沿いを遡上する様にして里山の道を行くことになるが、この辺りで木々が殆ど色付いていないところをみると気温の落ち込みはそれほどではないのかも知れない。

「まだ早かったかな?」とは思ったが、「まぁ行ってみればわかる事」と思い直して ペダルを踏む脚に力を込める。

 

長瀬で谷汲への道を分けて山沿いの道に入ると、ここからは根尾樽見に至る裏道。

5㎞ほど先の高科まで集落があるので道は良く整備されているが、住民しか利用しないので車は殆ど通らず小生お好みのルートだ。

しばらく走ると前方から一人のローディーが坂道をゆっくり下って来たので手を挙げて挨拶する。

表道というか、R157は根尾樽見との往来に利用するローディーが多いので、出会うのも不思議では無いが、この裏道で出会うのは珍しくこれまで1回あっただけだ。

「何処から来たのかな?時刻は10時半を過ぎてるので樽見へ行った戻りなら朝早く家を出たのかも?」などと勝手な思いを巡らして、意識ここにあらずという時に突然の 「パァーン」という轟音が響いてビックリする。

猟銃の音だ、近くの山中で狩猟をしてるらしい。

「イノシシかそれともシカか?そう言えばこの近くにジビエを出して賑わってる店が あったっけ」

色々な思いが頭に浮かび消えていく・・・。

そしてまたも「パァーン」という轟音、「おぃおぃ流れ弾が飛んでこないだろうな」と杞憂ながら心配になった。

 

この道は樽見鉄道の線路と付かず離れずなので、たまに近くを走る列車の音が聞こえたり遠くを列車が走り去るのを見かけたりする事がある。

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山里に静かに佇む樽見鉄道・高科駅

そんな事から、今日は高科駅で来る列車の写真でも撮ってみようと俄か鉄道ファンに なって待ってみたが、時刻表を調べもせずにただ闇雲に列車を待っても来る筈が無い、7~8分待ったが無駄と諦めて先を急ぐことにした。(後で調べたら列車はもう通過した後だった)

本巣=樽見間の列車運行は日中は上下6本しかないので、ライド中に良い写真スポットで走る列車に遭遇するのは奇跡に近いという事だ・・・。

 

ここから道は根尾川の渓谷に沿って山の中に入っていくが、この辺りの広葉樹の色付きは未だ浅く秋色とは言い難い感じなのでもう少し先まで行ってみることにした。

鍋平を過ぎると道は細くなる上に枯れ枝や山肌の砕石が落ちていたりするので、それらを避けながらせめて日当辺りまでは足を延ばそうとペダルを漕ぐ。

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少し色付き始めた山沿いの道

「今年は山に木の実が少ないのでクマが里近くまで下りてきてるらしいな」「クマに 遭遇したら果たして逃げ切れるかな?」などと独り呟きながら10分ほど走ったが、山には杉が多くまた色付き良く紅葉した木々も殆ど見られないと分かったので、そこから 先に行くのを諦めて引き返すことにした。

「やっぱり2週間は早い感じか」「気候変動の影響で紅葉時期も遅れる一方だな」と 独り愚痴る時間は続く・・・。

 

鍋平まで戻って根尾川の渓谷にかかる橋のたもとで暫し休憩することにした。

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根尾川渓谷に架かる橋の上

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根尾川の澄明な水面

眼下の清澄な流れは岐阜と福井の県境に座する能郷白山にその源があるが、その水面を見つめながらつい追想にふける。

「遥か昔のことだが、残雪多い能郷白山に単独行した帰り道、濃いガスに巻かれて道を見失い雪の中を1時間ほど彷徨ったことがある。

高山から低山まで何百回かの登山の中で道に迷ったことは3度あるが、下手をしたら 遭難していたかもと今にして思うのはこの能郷白山での出来事だけだ・・・。」

 

少し長めの休憩のあと後半の走りをスタートする。

帰路は里山かおり街道を雛倉まで走り、あとは市街地を走って居宅を目指すルート。

まずは、ここから金坂峠までの標高差100mほどを登るが、たかが100mヒルクライマーの皆さんにはどうってことないが、坂が嫌いな小生は少し作戦を練る必要がある。

「前半1㎞は緩い傾斜なので脚は使わず走って後半1㎞の7~8%の登路で力を消費する、最後の100mを我慢すれば峠だ。」

そして本番。

前半は予定通りで後半も中盤までは予定通りだったが、残り300mを切った頃から急に疲労が脚に来た。

休憩で疲労回復したと安易に思ったが、実は回復してなかったという事か?

脚の疲労感は10段階の8とかなりのモノ、おまけに息も上がって呼吸困難になりそうで、こんな状態は二ノ瀬の後半を喘ぎながら登っていた時と大して変わらない。

おかしいなぁ以前はもっと楽に登れた筈なのに・・・。

「あと50m・・・あと20m・・・」と自分を叱咤激励してなんとか峠を越えた。 

 

疲れた脚を休ませる間もなく直ぐにダウンヒルが始まる。

結構長い下り坂だからペダルを回さないでいると、足首から力が抜けてシューズが脱げた様な奇妙な感触を覚えるが、これって誰もが経験している感触なんだろうか?

坂を下りきってペダルを漕ぎ始めると「ん、なんか変」と気づく。

ペダルを廻す脚が妙に窮屈で、力を入れて漕がないとダメな感じ、さては何かの衝撃でサドルが下がったか?

バイクを停めてサドルの高さを目視してみるとやっぱり低そう、案の定適正な位置より5㎝以上は下がっていた。

これじゃ窮屈なのは当然だし、脚に無駄な力ばかり入ってペダリングの効率も極めて 悪くなってる筈。

先ほどの坂の登りであんなに疲労困憊した原因は、多分これだったんじゃないかと一人で得心した。

サドルを適正高さに戻して再スタート。

少し高いかなと感じるが本来の高さはこれが正解、ペダリングは随分と軽くなった感じでスピードの維持も楽に出来そうだ。

 

里山かおり街道は根尾から関・美濃方面への抜け道で、良く整備された明るく開けた 山間の道の割には車の通行が少ないのでローディーが走るのに最適の道。

こんな道がもっとあれば良いのにと手前勝手に思っている。

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里山かおり街道の静かで明るい道

雛倉まで走って来ると静かな里山の道は残念ながら終わり。

ここからは交通量も増えるので道を変えたいが、探しても良い間道が見つからない無いのが悩みの種、車に注意しながら我慢して走るしかない。

市街地をロードバイクで走るのは好きでは無いが止むを得ない、あと30分もあれば帰り着けるだろう。