風を道連れに

☆あるボッチローディーの独り言☆

里山をひと巡り

 

ここ数日来、普段は綺麗に見えている金華山が黄砂の微粉で朧げに霞んでいる。

どうやら今年は黄砂の飛散量が例年になく多い様だ。

だけど・・・と昔のことを思い出した。

 

30年近く前に仕事で蘇州(中国江蘇省)に長期滞在したのだが、4月の或る日のこと、オフィスの窓際で執務中に何気に外を見ると、日中なのに随分と暗くなっている。

先刻まで明るい陽光が射していたのに何事か?と訝し気にしていると、傍にいた中国人の現地社員が「これは黄砂で暗くなったんですよ」と教えてくれた。

毎年4月~5月にかけては中国内陸部(ゴビ砂漠や黄土高原)で強風が吹き、上空に巻き上げられた砂塵が偏西風に乗って度々飛んでくるので、日中でも陽光を遮ってこんな風に暗くなるとのこと。

この時小生も黄砂のことは知っていたが、それは日本国内での”水平線方向がうっすら黄ばんで視界が悪くなる”程度の事象で、まさか”日中でも辺りが夕刻の様に暗くなる” ほどの事象とは思ってもいなかった。

ゴビ砂漠(image)

それから数年後、旅行で西安(中国陝西省)を訪れた時には砂嵐に遭遇した。

西安は黄土高原から近くゴビ砂漠からも800kmほどしか離れていない。

その日は砂塵を含む大気が街全体を包んでおり ”明代城壁” や ”大雁塔” といった観光地では、眼にするものがその薄いベールにぼやけてしまい、少なからず感動が削がれて 残念に思った様に記憶している。

観光地巡りを終えてホテルに戻り、夕食を待つ間に付近の散策に独り出かけたのだが、街路樹の美しい通りをそぞろ歩きしていると、俄かに風が吹き出して、辺りが夕立時の様に暗くなった。

「これはひと雨来るな」と踵を返してホテルへと急ぐが、風はどんどん強くなり、それに連れて視界も何だか悪くなってきている感じ。

やがて70~80m先が見えないほどに視界が悪くなるに及んで「これは夕立じゃなく砂嵐だな」とようやく気が付いた。

それから2時間余り、砂嵐は”轟々”と西安の街を吹き荒れてから去っていった。

と云うことで、大陸中国は島国日本とは随分違うことを、自然現象の上でも実感したと言う話でした・・・。

 

さて今日は、谷汲から池田へと濃尾平野北西端の山辺をライドすることにした。

新緑の芽吹く里山を、心地良くなった風を身体で感じながら走るのも愉しそうだ。

 

岐阜市街から北へと走って小1時間、雛倉辺りまで来ると周囲は徐々に里山の色が濃くなる。

視線を山へ向けると、1ヶ月前まで裏葉色一色だった山肌が濃緑色(針葉樹)と若葉色(広葉樹)に彩られており、その鬩ぎ合う様に混在するさまが、生命の息吹そのものを体現している様に感じられチョット感動。

「新緑を見ると心が優しくなるなぁ」そんな思いが脳裡を占めて、ペダルを漕ぐ脚を 妙に軽くしてくれた。

新緑で彩られた里山の優しい風景

里山かおり街道(r-79)の鹿穴峠を喘ぎながら越え、本巣CCの先で左折して渓流沿いの林道へと進路をとる。

8ヶ月ぶりだがいつ走っても気持ちの良い道で、微かに耳に届くせせらぎの音を道連れに、木洩れ陽の射す木立のトンネルをのんびりと走る。

時折辺りの静寂を破る様に車が通り過ぎ、それが遠ざかるとまた元の静けさに戻るが、その繰り返しも前方が明るく開けて神海の集落に近付くと終わり。

チョットばかり残念な気分だが、ここは束の間(10分ほどかな?)安穏な気分に浸れただけで”めっけもの”と感謝すべきだろうな・・・。

渓流のせせらぎと木洩れ陽に包まれて気分もゆったり走る

神海で根尾川を渡り、少し下って長瀬の三叉路を右折してr-40を谷汲へと向かう。

走りながら「さぁてどこまでい行くかなぁ」とこの先の走路を頭に浮かべて思案。

ルートは3つ。

華厳寺門前を左折して巡礼花街道(r-251)を南西に走り小野坂トンネルを貫ける

華厳寺門前を通り過ぎた先で左折して西美濃お茶街道を南西に走り東ノ山トンネルを貫ける

③r-40を揖斐峡まで西進する

何れも”優劣つけ難し”と云ったところだが「最近走ってないなぁ」という点を酌んで ②のルートを採ることにした。

根尾川の水量が多い気がしたが数日前の雨のせい?

桜の時期は結構賑わう華厳寺もそれが終われば元の静けさを取り戻す。

ひっそり閑とした参道を見た時「チョット寄ってみるか」との誘惑(人の居ない静かな寺社が好きなので)に駆られたが、ここはグッと我慢して先へと進んだ。

人影も途絶えた華厳寺に向かう参道(チョッピリ淋しい気がしないでもない)

西美濃お茶街道に入ってしばらく走ると東ノ山トンネルまでの長い上りが始まる。

斜度は4%ときつく無いが、直線道で残りの距離が一目瞭然なので、坂の嫌いな小生には”精神的にはキツイ”道、喘ぎながらトンネル入口に着いてホッと一息。

以前このトンネルを貫けた時はトンネル内路面が泥水で濡れており、ウェアやバイクに泥跳ねが付いて散々な目にあったが、今日はその心配は無さそうなので、そんな点でもホッと一息ついた。

東ノ山トンネルへ向かう道、あと一息だ・・・

トンネルを貫けると眼前にお茶畑が拡がる。

ここは”美濃いび茶”の産地で、だから走ってきた道も”西美濃お茶街道”と命名されてるという訳。

もうそろそろ ”一番茶” の摘み取りが始まる時期と思うが、見たところ未だ始まっては いない感じ。(素人判断です)

今年の茶葉の出来はどうなんだろうねぇ・・・。

いび茶は白川茶と並んで岐阜を代表するお茶の銘柄

お茶街道をそのまま南西に走って粕川の畔まで来た。

途中で渡った揖斐川は水が少し濁っていたが、この粕川はいつ来ても水が綺麗で、その流れを見ていると随分癒される。

この川を上流に向かえば ”天空の茶畑” があるが、今日はそこを訪ねる気力(小生には 結構つらいヒルクライムになる)は無いので、その方向を望見するだけに留めて、ここから始まる”池田ふれあい街道”へ向かうことにした。

”天空の茶畑”は右手奥の山上にある

いきなり7~9%の斜度が続く急坂だが、ここを上がり切ればあとは多少のUp Downを 繰り返すだけ。

誰が見てる訳でもない(まぁ見られても構わないが)ので、前荷重にシッティングして息を上げない様にノロノロと進むと、視線の先にこの道の最高点が見えてきた。

「あと少しだ!」自分を叱咤激励すると少しペダルが軽くなった様な気がした。

やれやれ少し脚が張ってきたので大津谷公園で一休みだ・・・。

大津谷公園は週末になるとキャンパーで賑わうが・・・

大津谷公園から霞間ヶ渓⇒池田温泉へと池田山麓の道を南へ走る。

左手に濃尾平野の眺望が拡がる爽快気分の道、だが下り基調の道なので景色を見るのは最小限にとどめ、路面状況に注意ながらスピードに乗って疾走すると、これもまた気分爽快だ・・・。

”池田ふれあい街道”を走ると爽快気分が味わえる

池田温泉からは、赤坂⇒神戸⇒結と定番の走路を走って墨俣まで一気に帰ってきた。

この先長良大橋を渡って東進すれば岐阜市街、今日も大過無くここまで来たことに感謝しておこう。