風を道連れに

☆あるボッチローディーの独り言☆

海まで来ちゃった⁉

ここ3回ほど平地のライドが続いたので、今日は山手の方へ行こうと昨日から決めて いた。

行先は揖斐方面で、横山ダム辺りまで行って帰ってくればソコソコ面白そうなライド になる筈だ。

北風は少しあるが走行の支障になるほどでは無く、天気も西方に若干雲が多いかなと 云う程度、多分大丈夫だろうと踏んだ。

街中を抜けて視界の開けたところで北西方向を見渡すと。

「うぅん?揖斐の辺りは時雨てるか?」西から北にかけての山並みには雲が被さり、所々小雨が降っている様に見える。

天候の回復を期待するか諦めるか、少し迷ったが「これはどうも駄目だな」と弱気に 判断して行先を替えることにした。

新しい行先は雲の感じからして南の方が無難、多度かそれとも桑名辺りまで足を延ば してみようかな?

「今日も平地ライドになるが仕方が無い」雨に降られるよりはマシだ・・・。

 

走路を長良川左岸堤防道路にとり、南に向かって走りつつ前方を見る。

右手前方の山が途切れる辺りが多度で、距離は30㎞チョット「一気に走るぞ」と気合 を入れ直してペダルを踏んだ。

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長良川左岸堤防道路から進行方向の遠望

暫く走っていると、後から一人のローディーが迫ってきてスッと追い越していった。

「結構急いでいるな、何処へ行くんだろう?」興味が沸いたので、少し離れて付いて いく事にした。

スピードは30km/hrチョイオーバーで小生の普段の走りより2km/hrほど速いが、追い風があるので無理なく付いていける。

「二ノ瀬かな?それとも長島?」行先を勝手に推測しながら追走していると、前方の Y字路で堤防道路とは違う道へとローディーが逸れていくのが見えた。

「あれれ、道から外れたぞ」「付いてくライドはこれで終わりか、ほんの数㎞だった なぁ」と独り愚痴ていた矢先、前方を伺うと堤防道路へのスロープを駆け上っていく ローディーの姿が見えた「あれぇ、戻ってきたぞ」それじゃまた付いてくライドの  再開だ。

それから数㎞走ると、先行ローディーのスピードが落ちて車間が詰まってきたので、 一気に追いついて声をかけてみることにした。

「こんにちは、どちらまで」との小生の問いに、岐阜市長良に住むというローディーは「いなべから鞍掛峠を越えて多賀から米原関ヶ原へと廻ってくる予定」と答えた。

「えぇ、3県(岐阜、三重、滋賀)廻るの」と驚くと「いゃぁ、130km位だから大したことないですよ」と謙遜して言う。

鞍掛峠と云えば鈴鹿山脈の主稜線にある峠で、トンネルを抜ける道でも海抜600mは 超えるはず「大したことないなんてことは全然無い」坂嫌いの小生には到底出来ない ライドなぁと密かに恐れ入る。

その後、ランデブー走行しながら立田大橋西交差点まで走り、そこでお互いの安全と 後日の再会を祈願してそれぞれの行先方向へと別れた。

「さぁ、またいつものボッチライドの再開だ」

 

船頭平河川公園まで走って、定石通りの休憩を取りながらこれからのコースを考える。

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船頭平河川公園の東屋でいつもの様に休憩

①桑名から多度へと廻る 

②このまま長良川沿いを走って河口(伊勢湾)までいく

「そうだなぁ近頃海を見てのんびりしてないし、久々に100kmライドも良いかな」と 結論したのは、130kmを「大したことない」と聞いた影響があったのは否めない。

 

休憩を10分ほどで切り上げて出発、長良川沿いを河口へと走る。

東名阪高速の下をくぐりJR・近鉄の鉄橋下を抜けると長良川河口堰はもうすぐだ。

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長良川に設けられた河口堰(治水施設)

この堰は、河口地域の塩害防止と水害予防を目的に造られた巨大施設だが、建設時に 漁業者の生活保障や流域の自然破壊で大きな問題になり、上流の岐阜市にまで建設省(当時)の役人が説明に来た。

その頃小生は町内会役員をしていた関係で説明会に参加し、役人の説明内容に疑義を 覚えて何点か質問したのを覚えている。

あれから何年経つのだろう?果たして堰の効果はあったのか?

確かに、長良川では最近水害は発生してないが、かって清流が謳われた水質が中流域 で酷く悪くなっている様に思えてならないのだが・・・。 

 

なばなの里の脇を通ってなお南進するが、ここからは狭く危険な堤防道路は走らず堤防下を並走する路地を走る。

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伊勢湾まではあと6kmほど

スピードは出せないが無防備なまゝ車に追突される懸念はほゞ無く安全だ。

R23の高架をくぐり抜けて、小さな漁港の脇を通って路地を進むと、やがてナガシマ スパーランド駐車場に行きつく、その先右手の護岸を越えればそこが目的の海だ。

潮風が気持ちよく迎えてくれるが、さらに進んで護岸を左に折れると伊勢湾が視界一杯に広がる。

海を眺めながらもう少し先に進んで波消しブロックが途絶えたところで停まると、ここがいつもの休憩場所だ。

側壁にロードバイクを預けて護岸の縁に腰かけ大休憩。

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陽光きらめく伊勢湾

視線の先、キラキラ輝く海面のはるか向こうを大きな貨物船が航行していく。

国内航路の船だろうか、それとも海外航路?遠い異国を往来する船旅のロマンがふと 脳裏をよぎるが、それも束の間、コロナ禍の現実がそんな安穏な夢想を掻き消す。

いつもなら、頭上をセントレアに向け降りていく機影があるのだが、今はその轟音が 響くことも無く、ただ打ち寄せる波の音が聞こえるだけ。

もう随分と長く海外に行ってないな、最後はフランスとスイスを巡った旅行かぁ。

それにしても海外との往来が元通りになるのはいつのことだろう・・・。

取り留めもなく想いが浮かび消えていく。

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四日市コンビナート群を遠望する

やおら時計を見ると11時を少し廻っている、ちょっとのんびりし過ぎてしまった。

復路は木曽川右岸堤防道路を走って立田大橋まで戻り、往路と同じルートで岐阜まで 帰る予定。

シューズの固定バンドを締め直して早速出発する。

 

護岸を東進して道なりに左に折れ、木曽川右岸堤防道路に出るといきなり強風が吹き付けてきた。

北からの4~5m/sの風で、正面から吹き付けるのでスピードが上がらない。

「こりゃあダメだ」このまま木曽川右岸堤防道路を走っても疲れるだけ、長良川左岸側なら路地が走れるし「家が風よけになって多分楽に走れる」と判断して引き返すことにした。

 

護岸を戻って長良川河口に出ると、伊勢湾岸自動車道の跨川橋の向こうに鈴鹿山脈の 青い山並みが望見できる。

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跨川橋と背後の鈴鹿の山並み

往路で出会った彼は今頃どの辺りを走っているだろう?

「時間的には鞍掛峠に向けて鈴鹿の山を登り始めた頃かな」と推測し、視線の彼方に 思いを馳せた。

 

長良川左岸側の路地で向かい風は弱まったが、それでもスピードは23~4km/hrが精一杯で、結局15kmほどを走るのに45分もかかってしまった。

あと30数kmの走りが残っているが、幸いにしてここ(立田大橋付近)では向かい風が弱まっている(向きもやゝ横風になった)ので、これからは多少は楽に走れるんじゃ 無いかと期待したい。

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木曾長良背割堤から北(帰路方向)を望む

今日はいきなりの行先変更で出鼻をくじかれたが、途中で出会ったローディーと並走 したり、海まで足を延ばしたりとチョット意外性のあるライドだった。


だけど、こんな事がたまにはあっても良いよね・・・。