旅行で使うものを入れた鞄を整理していたらパスポートが目に入ったので、手に取って有効期限を確認すると1年以上前に失効していた。
「やっぱりな、もう随分長いこと海外に行ってないもんなぁ」と溜息が漏れる。
最後の海外は7年前のフランス⇒スイス⇒ドイツと巡った観光旅行で、愉しい旅だったがパスポートには出国と入国の押印があるだけで、旅程を示す痕跡すら無いのが何とも味気ない。
会社勤めをしていた頃はパスポートは必需品(海外プロジェクトで出張することが間々あった)で、査証欄の残ページが残り少なくなるほど使った時期もあったが、リタイヤすると海外へ出かけるのは観光目的のみとなり当然使用頻度は大きく減った。
そこへ来て、ここ数年来は2日以上家を空けることが出来なくなった事情もあり、観光目的の渡航も無くなって、パスポートは鞄の片隅に埋もれたままその失効にさえ気が 付かなかったという次第だ。
世間ではコロナ禍自粛の反動で海外旅行熱が再燃しそうな気配だが、小生は今のところそのブームに乗る情況には無い。
悲しいかな今はただTVなどの旅番組を観ながら、いつの日か彼の地を訪れる際に備え予備知識を蓄えるのみである・・・。
さて今日は久し振りに西の方へと走ることにした。
"まずは多良峡へ向かい、その後反転して関ヶ原経由で不破の山沿いを池田へと辿る"
そんな大まかな走行ルートを頭に描いて居宅を出発。
普段より40分ほど早く出られた(と云うことは時間的余裕が生まれる)ので何かしら 気分が良く、どこか秋空めいてきた気配(天が高く巻雲がたなびいている)がその気分を後押ししてクランクを回す脚を軽くする。
しかし、そんな上々の気分もある交差点を左折(いつもは直進)した事で暗転することになった。
一度走路を変えると何度も走路を変える事になるのは小生の性癖で、今日もそれを繰り返した結果、ついには全く知らない道を走る羽目になって「あれれ?こんな筈じゃぁ」と少し落ち込む。
そんな気分に更に追い討ちをかける様に後輪がパンクして「なんてこった、あの時道を変えなければよかったぁ」と今更ながらに悔やんだが、こう云う小さな出来事が結果的に大きな出来事?に繋がるのって”バタフライ効果”と言うのかな。
こんな事で落ち込んじゃぁいられないので、パンクを修理しながら気分を立て直して 再出発、まだまだライドは序盤だ・・・。
上石津トンネルの手前でR-365から離れて牧田川沿いの旧道を走る。
いきなり8%強の坂が400mほど続くので、ここまで35km近く走ってきた脚には少し 辛いが、多良峡まではあと2kmほどなので我慢してクランクを回すしかない。
Up Downする林道をしばらく走ると視線の先に吊り橋が見えてきた・・・。
この時期多良峡には多くの家族連れが涼を求めて訪れるが、今日は川が少し濁っている(前々日に雨が降った)ので人数は少なめ。
そのせいか?川原の喧騒は吊り橋横の休憩スペースまで届かないので、これ幸いと誰も居ないベンチに腰掛けてノンビリ寛ぐことにした。
そよ吹く風は無いものの樹陰が汗ばんだ身体を癒してくれるから、疲労感が徐々に解消されていく感じがして何とも心地良い。
静寂に包まれながら沈思黙考すること10分余り、いつまでもこうして居たいがそうも いかないと腰を上げた。
次に向かうのは”不破の滝”で、先日Google Mapを見ていて偶然に見付けたこれまで一度も行ったことのない場所。
予定通りR-365まで戻って ”島津の退き口” ルートを関ヶ原へと走ったまでは良かったが、その先を通った事のない裏道を選んで進んだのが失敗だった。
不破の滝への道は "垂井線を越えて山際を進むと出会う川沿いの道” と記憶しており、 正にその通りの道に出たのでそのまま山に向かって進んだのだが、舗装路はやがてオフロードに変わりその道も次第に細くなっていく。
「何かおかしいぞ」と思いながらも更に進むが、目の前に ”この先林道行き止まり” の 看板と柵が現れるに及んでようやく事態を理解し道を間違えたと自覚した。
「と云うことは同じ様な地形と道が別にあるなぁ」と来た道を引き返して周辺を探すと東に300mほど離れた所に山中へと続く若干幅広の川沿いの道があった。
その道を奥へとしばらく走り「やっぱりこれが不破の滝へ通じる道だな」と確信はしたが ”時すでに遅し” 今から滝への往復は時間的にキツイので行くのは止む無く断念する ことになった。
それにしても最近はこんな風にして道を間違えたりすることが多くなった気がする。
自信を持っていた地理観も寄る年波には勝てず次第に衰えていくのかなぁ・・・。
とんだ失敗を嘆きつつ最後に向かったのは垂井と池田を結ぶ”伊吹ばら街道”の梅谷越。
小生の好きな峠越え林道の一つだが、普段よく走るライドコースからは外れているので以前に走ったのは3ヶ月ほど前と久し振りだ。
緩い斜度の道を淡々と上っていくと、道は次第に深い木立に囲まれた林道となる。
気温も数℃下がった様で、そのヒンヤリとした雰囲気が少し汗ばんだ身体を包み、傍を流れる渓流のせせらぐ音の清涼感との相乗効果で小生を心地良さで満たしてくれる。
梅谷越の好さはこんなところ、少し寂れた林道だが満足度では他に引けを取らない。
峠が近付くに連れて斜度も上がってクランクを回す脚にも力が入ったが、前荷重で乗り切って下りに入る。
ここの下りは ”要注意” 路面が濡れてることが多いし一面苔生した路面も何ヵ所かある。
スピードの出過ぎと急ブレーキに注意して慎重に下ると、間もなく池田山林道との分岐が見えて来た。
不破の滝へは行けなかったが今日の予定はこれで終わり。
池田温泉に寄ってひと風呂浴びていきたいところだが、帰路でまた汗を掻くので意味が無いし何よりも時間が無い、ここは諦めて帰るのが順当だろうな・・・。