地方に住む小生は、お盆の帰省による交通機関の混雑や高速道路の渋滞と云った事象とはほゞ(随分昔の単身赴任時に体験したが)無縁である。
多分にせっかちな性格である小生には、長蛇の列に並んだり、延々続く渋滞に根気強く従ったりするのは“どうにも我慢が出来ない”ので、そういうものに関わらず過ごせる今の生活環境は、願ったり叶ったりと言うほかない。
我が国の全人口の44%が大都市に住み、その平均人口密度は約3,000人/km2、一方地方都市には47%が住んで、平均人口密度は約300人/km2というから、大都市での生活には何事につけ “混雑” という2文字が付きまとうのは止むを得ないのだが、それにつけても思うのは“何故人々は大都会に住みたがるのか”という疑問。
例えば住環境。
国分寺に住む小生の次女は5年ほど前に戸建て住宅を購入したが、当時は額面5,800万円だったのに、今では同等の住宅の値段が8,000万円はくだらないと言っていた。
一方、小生の住む岐阜市辺りでは、敷地60坪の建売住宅が3,500~4,000万円ほどで購入できるので、その金額差はほゞ2倍にもなる。
「この金額の違いって果たして妥当なの?」と小生などは思うが、“需要と供給”で住宅購入者が、それを可とするなら致し方ないのだが・・・。
生活する上での様々(買物・娯楽・交通他)な利便性も、大都市と地方都市でほゞ遜色はなく、物流の発達した今日にあっては、むしろ地方都市の方が勝れているものも多数ある。
地方に住む利点はそれだけではなく、何よりも自然が身近にあることだ。
ロードバイクで1~2時間走るだけで、自然の只中へと身を置くことが出来るのは、地方在住なればこそ。
大都市に住む人の中には、地方に住む人を “一段低く見る” 風潮(これは昔から厳然と してある様に思う)があるが、小生などはこれとは逆に、大都市に住む人(住まざるを得ない人も)は、生活レベルも低く抑えられているのが実情で有り “可哀相だな”といつも気の毒に思っている。
さて今日は、諸般の事情で遠出することができないので、長良川左岸河川敷の河川管理道路を走って”お茶を濁す”ことにした。
この管理道路は往復50kmほどだが、そこまでのアプローチを含めるとTotal60kmに少し欠けるくらいの走行距離になるので、多分3時間もあれば終えられる筈。
酷暑の中、熱中症にならないためにも “身の丈” に合ったライドこそが、今の小生には 相応しいと云うことだ。
まずは走路の始点となる長良河畔へと向かう。
今日は雲の多い天候だが、それでも気温は既に33℃越え。
ムッとした暑さが辺りに充満しており、市街地ではスピードが出せない分、その熱気が身体を包み込む。
常識人なら、こんな日は冷房の効いた部屋で本でも読んで過ごすのだろうが、何の因果か小生はこうして炎熱の下へ出てきてしまった。
全く自転車遊びというのは”不見識極まる”非常識人の遊びではある。
川原町の古い町並みの先で河川敷の遊歩道に下りると、いよいよここから河川管理道路往復ライドのスタート。
視線の先に、遠く伊吹山地の青い山並みが霞んで見えているが、天気が悪くなる気配はなさそうと確認して(こう暑いとザァっとひと雨欲しいところだが、かと言って激しい雷雨は困る)ペダルを漕ぎ出した。
数百mも行くと走路は川辺を走る様になるが、期待した川面を渡る涼風はそよとも吹かないので、やっぱり今日も酷暑に堪える“忍耐のライド”になりそうだ・・・。
鏡島⇒日置江⇒小熊と走って羽島大橋の袂まで来たが、この間で出合った(nocareで 走っていて突然追い越された)のは4人組のローディのみ。
通常ならウォーカーも含めて7~8人と出合うのが常だから、やっぱり誰もが炎天の下での行動を避けていると云うことなのだろう。
それにしてもあの4人組、2人はロードバイクで1人はクロスバイク、そしてもう1人は 何とママチャリだった。
如何に若いとはいえ、クロスバイクはともかくママチャリでロードバイクと一緒に走るのは狂気の沙汰?でしかない。
どこまで行くのか詮索すら出来ないが、疲労困憊と熱中症で大変なことにならなければいいが・・・。
一気に18kmほどを駆けてきたので、身体の内部発熱が発汗を促して額から汗が滴る。
そろそろ給水を摂りながら休もうと涼しい場所を探すが、橋の下にしか日陰の無い道 なので適当な休憩場所はなかなか見つからない。
しばらく走ってようやく行き着いたのは、堀津町の多目的運動公園にある小さな木立の木陰だった。
その木陰で涼みながら水分を摂ると、一気の噴き出してくる汗に身体の脱水を実感。
「こりゃぁ帰着までにペットボトル飲料2本は買うことになるな」と今更ながらに覚悟した。
桑原町(羽島市)の防災船着場に着いてひと休み。
ここが長良川左岸河川敷に設けられた河川管理道路の南端で、この先は左岸堤防道路を辿って木曽長良背割堤まで行けるが、今日はそこまで足を延ばす気はない。
船着場の岸壁に座ってゆったりと流れる川面を眺めていると、水上スキーヤーを引いたモーターボートがそれほど速くないスピードで眼前を通り過ぎていった。
スキーヤーはまだ習いたてらしく、その及び腰には緊張感が見て取れたが、その内にはジャンプも加えて颯爽と滑れる様になるのだろう。
「何事も地道な努力が必要だからな・・・」何でもそうだ、特に根が不器用な小生などが人並み以上に出来る様になるには、他人の1.5倍(ただ2倍とまではいかないと自負)はそれをやる必要がある・・・。
そんなことを思いながら遠ざかるモーターボートを独り静かに見送った。
水分補給のペットボトルを求めて近くの売店に寄り道をした後、復路の走りに入る。
ここからだと、しばらくは堤防道を行き大藪大橋の先で河川管理道路へと走路変更するのが良さそうと判断。(小生は道を無駄に戻るのは好きじゃない性格)
この道は、遠くまで視界が広がっていつも気持ちの良い走りが出来るのだが、往路では層積雲に覆われていた上天が、今では高積雲の空へと変わって雲間が増えたので、降り注ぐ陽光で熱せられた路面が輻射熱を放って一段と暑さが増しており、とてもじゃないが快適な走りは出来そうにない。
「こりゃぁ敵わんなぁ」愚痴が出るのも納得のそんな暑さだった。
堀津⇒福寿と河川管理道路を走り、長良大橋下の日陰での小休憩も挟みながら本荘まで帰ってきた。
居宅までは、長良(始点)経由で9kmほどあるが、身体はかなりヘロヘロで、ペダルを漕ぐ脚にもあまり力が入らない(こういうのって多分に気持ちor気合が影響しているのは解っている)ので、途中の忠節で管理道路の走りを止め、そこから居宅へ向かうことにした。
そうすれば2kmほど走りが短くなる・・・。
今はただ“早く居宅に着いて身体を休ませたい”その一念だけだ。