風を道連れに

☆あるボッチローディーの独り言☆

桜から新緑へ

 

小生は年金暮らしをしているので、昨今の急激な物価上昇には言わずもがな影響を受けている。

現役で働いてる人は、物価上昇分を賃金UPでカバーすることも可能?だが、年金受給者は ”マクロ経済スライド” でUP分を押さえられ実質的に ”年金目減り” となっている  ため、生活費が上昇して不足すれば、その分を預貯金で補填するしかない。

そこで、この ”どんどん少なくなる預貯金” を少しでも増やしたいと思うのだが、国内 銀行の定期預金利率は0.01%(100万円を1年預けて100円の利子)というゴミみたいなもので話にならない。

それじゃ利率の高い「外貨預金(米国1年定期は3.5%)でもしてみるか」と考えるが、今の為替レートは133円/ドルと円安に傾いており、この先の動向が不透明(120~150円の振れ幅)なことが足枷になって、簡単には外貨預金へと走ることも出来ない。

 

今日のこんな四面楚歌な状況をもたらした元凶は、異次元の金融緩和で安倍政権の放漫財政に協力(と言うか下支え)した日銀である。

中央銀行としての本来の役割(通貨価値の安定化)を忘れて国債を乱発し、その結果として、この10年間で我が国を世界最悪の財政赤字国に転落させるばかりか、その巨額な債務故に財政運営の柔軟性に箍を嵌めざるを得ず、社会経済情勢のドラスチックな変化に対応出来ない国にしてしまった、その罪は極めて重いと言わざるを得ない。

先刻のTVニュースで、本日限りで退任する日銀黒田総裁が、職員からの花束を貰って 退庁する様子を伝えていたが、小生などはその一コマを見て惜別の情を感じるどころか ”後姿に生卵を投げつけてやりたいと思った” と言ったら怒られるだろうか。

あぁそれにしてもこの国の政財界を牛耳るお偉方は、どれくらい ”庶民の心情” という ものを解ってるんだろうかねぇ・・・。

 

さて今日は、関から山県へかけての山辺を走ってみることにした。

今年は例年に比べて”春の訪れ”が早かった様なので「若葉の芽吹きも早いのでは?」と手前勝手に憶測したうえでの”新緑を求める”ライドだ。

 

まずは金華山の麓を通り長良川に沿って北を目指す。

いつもの走り慣れた道なので目に映るものに新奇性は無いが、注意して観れば多分何らかの発見がある(定点観測の妙はそこにある)筈で、それを見つけられない自分の凡庸さが「チョットばかり残念だなぁ」などと考えながら、それでもペダルを漫然と漕ぐ。

黙々と走って千鳥橋まで来ると、周囲は一旦山辺の風景に変わった。

まだ山肌に新緑の息吹は認められないが、それでも春先とは違った木々の緑色が、季節の移ろいを如実に体現していると感じる。

千鳥橋の前後は川近くまで山が迫る地形

束の間、川と山が織りなす風景を愉しんだあとは、長良川と別れて左右に田園の拡がる道を気持ち良く走る。

前方を見つめる視線の先に奥美濃へと続く幾層もの青い山並みが見えるが、あと30分は走らないと美濃山地の南端には至らない。

軽くなってきた脚に”はやる心”が芽生えるが「急ぐ必要はないぞぉ」と語りかける様に呟いて、ギアUPでスピードを上げようとする自分を押しとどめた。

 

平坦だった道が進むにつれて緩い坂道に変わり、山の間を通る峠をゆっくり越えると、そこが武芸川。

半世紀以上前の事だが、中学生だった小生は親爺に連れられて初めてここへ来た。

目的は川釣りで、釣り好きの親爺はアマゴを数尾釣ったが、小生の漁果はゼロと散々。

あの頃と眼にする風景は随分違うだろうが、この地を訪れ武儀川沿いの道を走る度に、不思議と脳裡に去来する昔懐かしい記憶である。

武儀川には今も昔と変わらぬ清い流れがある

ここから正面の山(汾陽寺山)に向かって走り、坂の峠を越えると寺尾原千本桜だが、既に花の見頃は過ぎているし、標高差70~150mの峠越えが3つもある行程になるので、根っからの坂嫌いを自負?する小生としてはイマイチ乗り気になれない。

「どうするかなぁ」しばらく考えたが「やっぱり当初の予定通りに美山へ向かおう」と決め、ハンドルを左に切り北西方向へ進路をとるが、それでも何だか後ろめたい気持ちが残ってスッキリしない。

こう云うところが小生の”優柔不断さ”の現れと言えなくもないが、無心になって黙々とペダルを漕ぐ内に、いつかその気持ちも消えていった・・・。

谷合に向かう道沿いにはまだソメイヨシノが咲き残っていた

美山から谷合へと山間の快適な道を辿り、神崎への分岐を過ぎた先で右折して伊自良へと向かう。

しばらく行くと平井坂トンネルまで標高差100mほどの上りが始まるが、最大斜度5%の緩い坂なので、坂に弱い小生でも疲労を感じることなく上がり切れるので助かる。

だが、トンネルを貫けた先のダウンヒルには要注意。

スピードが出るので不測の転倒を避けるのは勿論だが、横を抜ける車に気を使って路肩に寄り過ぎると、思わぬ危険が待ち受けていることがある。

ヒヤヒヤしながらも適度なスピードを保って下り、視線の先に麓の集落が見えたところで、ようやくホッと一息つくことが出来た。

平井坂トンネルを南へ貫けると伊自良

T字路を右折して伊自良湖へと向かう。

道沿いの集落はひっそり閑としており、そこは穏やかな時間が流れている様に思えて、小生もバイクをゆっくりと走らせ、眼に入る景色の移ろいを愉しみながら行く。

伊自良には年に数回(通過も含めて)は訪れるが、釜ヶ谷山麓の奥まったところにある伊自良湖にまで足を伸ばすのは久し振り。

ここを訪れていつも感じるのはその ”のどかさ” で、多分1週間前には湖畔を彩っていたであろうサクラはもう葉桜となっていたが、周囲の山は新緑の芽吹きでグラデーションしており、その山々と湖から構成される ”のどかな景色” が、今回も小生を満足させてくれた。

 集落では八重桜が咲いていた       のどかな風景が広がる伊自良湖

湖畔を散策した後は、すぐ傍の甘南美寺へとバイクを向ける。

この寺は室町時代末期に創建された古刹で、長年風雪に晒された仏閣の古色蒼然とした佇まいが魅力。

信仰心のあまりない小生ではあるが、静寂に包まれた寺内を独り巡ると、その来し方の重みが胸中へと拡がって、次第に心が満たされていくのを感じる・・・。

小生は侘びた感じの神社仏閣を訪ねるのが好きだ・・・

ゆっくりと寺内を巡ったので「身体が冷えてしまった」と反省しつつ「そろそろ帰るかぁ」と自問。

帰路は、伊自良から安食⇒黒野⇒尻毛と走り継ぎ、河渡から岐阜市街へのルートを頭に思い描く。

この走路なら多分PM2時までかからず居宅に着ける筈だ・・・。

順調に走って河渡まで帰ってきた、あと少し・・・